ロシアのオリガルヒ

ロシアのオリガルヒについて

ロシアのオリガルヒとは、ソビエト連邦の崩壊後、特に1990年代に資本主義的変革の中で急速に富を築いた富豪層のことを指します。彼らは、旧ソ連時代の国家資産を民営化し、国家権力と結びついて形成された大規模な経済的権力を持つ人々です。

オリガルヒの起源

オリガルヒが登場した背景には、ソ連の社会主義的体制から資本主義への移行があります。ソ連時代には企業の集団化がすすめられ、1973年には企業合同制度が確立されました。これは、当時のソ連共産党や閣僚会議の指導のもと、企業の統合を進めるためのもので、これにより企業の集団化が進行していきました。また、ゴルバチョフ政権下の改革により、協同組合や賃貸借に基づく経済活動が拡大し、これが新興財閥の成長につながりました。

民営化と新興財閥の形成

エリツィン政権下では「ショック療法」と呼ばれる急進的な経済改革が実施され、多くの国営企業が民営化されました。この民営化の過程で、国営企業の経営層が民間企業に移行し、新興財閥が台頭しました。典型的な例として、ガスプロムやルクオイルなどが挙げられ、既存の資源を引き継ぎながら企業を再構築していきました。これにより、旧ソ連の豊富な資源を背景にした大型企業が次々と成立し、新たな富裕層が形成されました。

政治との関係

新興財閥はその後、政治家や官僚との癒着を通じてその存在を拡大しました。彼らは、メディアの影響力を利用し、世論形成に努めることで政権への影響を強めました。特に、1996年の大統領選挙では、エリツィンを支持する形で資金援助を行い、再選を果たさせました。この結果、新興財閥は強い政治的影響力を持つようになりましたが、その一方で、多くの国民からは腐敗の象徴として批判を受けることになりました。

プーチン政権とオリガルヒの変化

2000年にプーチン大統領が就任すると、オリガルヒに対する政治的関係は一変します。プーチン政権は新興財閥の抑制を図り、メディアの統制を強化していきました。例えば、ウラジーミル・グシンスキーやボリス・ベレゾフスキーは、政権に対抗した結果として経済的に打撃を受けることになりました。

衰退と再興

2007年の世界金融危機は、さらなる困難を引き起こしましたが、石油価格の回復と政府の救済策により多くの財閥は再び力を取り戻しました。しかし、それには政権への絶対的な忠誠が求められ、新興財閥は逆らえない状況が続いています。

現在のオリガルヒの状況

現在でも活動を行っているオリガルヒには、ガスプロムグループのアレクセイ・ミレルや、ルクオイルのヴァギト・アレクペロフ、シブネフチのロマン・アブラモヴィッチなどが名を連ねています。一方で、かつて力を持っていたオリガルヒも多数おり、ユコスのミハイル・ホドルコフスキーやモストグループのウラジーミル・グシンスキーは影響力を失っています。

このように、ロシアのオリガルヒは、経済的な富と政治的な影響力を駆使しながら、変わりゆく国の姿の中で生き残りを図っている存在です。

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