ロシアン・マフィア

ロシアンマフィアとは

ロシアンマフィアは、ロシアを拠点とする犯罪組織の総称です。旧ソビエト連邦の崩壊後、社会の混乱に乗じて急速に拡大したとされています。その実態は一枚岩ではなく、ロシア国内に存在する様々な犯罪グループの集合体であり、ロシア系だけでなく、近隣諸国の出身者も含まれています。

活動内容

ロシアンマフィアの活動は、その規模や組織によって大きく異なります。小規模な組織では、恐喝や売春などが主な活動ですが、大規模な組織になると、企業買収、薬物取引、マネーロンダリング、武器密輸など、より広範囲かつ複雑な犯罪に関与します。

起源

ロシアンマフィアの起源は、15世紀から16世紀頃の反政府武装集団、奴隷制時代の農奴、ロシア帝国時代の囚人など、諸説あり、正確には特定されていません。旧ソ連時代には社会主義体制下で潜伏していましたが、ペレストロイカ以降、ブラックマーケットから自由市場へと進出し、勢力を拡大しました。また、冷戦終結後、職を失ったKGBの元諜報員やアフガン帰還兵が組織に加入したことも、その拡大に拍車をかけたとされています。

国際的な展開

ロシアンマフィアは、ロシア国内だけでなく、世界中に活動拠点を持ちます。ヨーロッパではイタリア系のマフィアを凌ぐ勢力に成長しており、ポーランドが最大の受け入れ国となっています。イタリアではコーサ・ノストラと提携し、農業や船舶関連産業を支配下に置いています。また、スペインでは、違法薬物や武器市場の大部分を掌握しています。

アメリカ大陸では、潜水艦を利用した麻薬密輸や、マリアナ諸島やグアムでのマネーロンダリングが確認されています。メキシコの麻薬カルテルがアメリカへの輸出で得た利益の一部は、ロシアンマフィアを通じて洗浄されているとも言われています。

南米では、コロンビアのゲリラ組織FARCに武器を供給する代わりに、麻薬を入手しているとされています。また、ヨーロッパへのコカイン流通の3割以上を支配しているという情報もあります。

極東では、ウラジオストクが外国マフィアとの窓口となっており、北東アジア諸国との間で武器や麻薬の密輸が行われています。サハリン州では複数の大規模組織が活動しており、日本の水産関係者とのトラブルや、日本のヤクザとの連携も指摘されています。

日本での活動

日本においては、北海道が主な活動拠点とされています。盗難車の密輸出、大麻やアヘンなどの違法薬物の密輸入、銃器の密輸入、オホーツク海でのカニの密漁などが確認されています。盗難車の密輸出に関しては、小樽港、石巻港、新潟港などが利用されてきたという証言があります。北海道警察は、ロシアンマフィア対策を最重要課題としています。

著名な人物

ロシアンマフィアの著名な人物としては、セミオン・モギレヴィッチが挙げられます。彼は東欧最大の犯罪組織を築いた首領として知られ、FBIの最重要指名手配犯にも選ばれています。また、ヴャチェスラフ・イヴァニコーフ（ヤポンチク）は、ヴォール・ヴ・ザコーネ（規律ある泥棒）と称された伝説的な人物です。

主な組織

ロシアンマフィアの代表的な組織としては、ソルンツェフスカヤ・ブラトヴァが挙げられます。これは世界最大級の犯罪組織とされ、莫大な収益を上げています。

メディア作品

ロシアンマフィアは、多くの映画や漫画、ゲーム作品の題材にもなっています。映画では、『処刑人』、『イースタン・プロミス』、『ジョン・ウィック』シリーズなどが有名です。漫画では、『ブラック・ラグーン』、『ゴルゴ13』などに登場します。ゲームでは、『グランド・セフト・オート』シリーズなどが知られています。