ロシア・プロレタリア作家協会

ロシア・プロレタリア作家協会（RAPP、ロシア語: Российская ассоциация пролетарских писателей）は、1925年1月にソビエト連邦で設立された文学団体です。ロシア語の頭文字から「ラップ」とも呼ばれ、ロシア・プロレタリア作家同盟やロシア・プロレタリア作家連盟とも訳されます。この団体は、レオポリド・アヴェルバフが創設者兼総書記を務め、ウラジーミル・キルション、アレクサンドル・ファジェーエフらが中心メンバーでした。

RAPPの前身は、1920年に設立された全ロシア・プロレタリア作家協会（VAPP）です。RAPPは理論機関誌『ラップ』と、隔週批評誌『文学哨所』を発行していました。名称とは異なり、幹部の多くはプロレタリアート出身ではなかったとされています。

総書記のアヴェルバフは、スターリンの意を受け、ロシア・アヴァンギャルドなどの作家を「非ソ連的」として激しく攻撃しました。この結果、エヴゲーニイ・ザミャーチンなどが亡命を余儀なくされ、ウラジーミル・マヤコフスキーは追い詰められて自殺するという悲劇が起きました。RAPPは、文学界におけるイデオロギー闘争の先鋒となり、多くの作家の運命を左右しました。

しかし、1932年4月、ソビエト連邦共産党中央委員会は、ソ連政権を支持するすべての作家を単一組織に再編することを決定しました。これにより、RAPPは未来派系のLEF（芸術左翼戦線）や同伴者系の全ロシア作家同盟など、他の文学団体とともに解散しました。その後、1934年8月には第1回全ソ作家大会が開かれ、ソビエト連邦作家同盟が発足し、ソ連の文学は一元化されることとなりました。

RAPP解散後、幹部たちは粛清の対象となりました。特にアヴェルバフとキルションは、大粛清の波に飲み込まれ処刑されました。アヴェルバフはNKVD長官だったゲンリフ・ヤーゴダの義弟でしたが、過激な言説がスターリンの不興を買ったことが粛清の要因とされています。一方で、ファジェーエフなど生き残った元幹部は、ソビエト連邦作家同盟の一員として活動を続けることができました。

RAPPの活動は、ソ連文学史における重要な転換点であり、その後のソ連文学に大きな影響を与えました。文学におけるイデオロギーの支配が強まり、芸術の自由が制限されるという側面があった一方で、社会主義リアリズムという新たな文学様式を生み出すきっかけにもなりました。

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