ソビエト連邦作家同盟

ソビエト連邦作家同盟（ロシア語: Союз писателей СССР、英語: Soviet Union of Writers）は、1934年8月に結成されたソビエト連邦の文学者団体です。小説家、詩人、批評家、児童文学者など、幅広い分野の作家を統合した組織でした。

1920年代のソビエト連邦では、様々な文学的傾向を持つ団体が活動していました。例えば、ロシア・プロレタリア作家協会（ラップ）、未来派系の芸術左翼戦線（レフ）、同伴者系の全ロシア作家同盟などが存在しました。これらの団体は、それぞれ異なる文学観や政治的立場を抱えていました。

しかし、1932年4月のソビエト連邦共産党中央委員会決議によって、状況は大きく変わります。ソビエト政権を支持する全ての作家は、単一の組織に再編されることになったのです。これにより、ラップ、レフ、全ロシア作家同盟といった既存の文学団体は解散を余儀なくされました。そして、1934年8月に第1回全ソ作家大会が開催され、ソビエト連邦作家同盟が正式に発足しました。

作家同盟は、スターリンが提唱した「社会主義リアリズム」を公式の創作方法として採用しました。社会主義リアリズムは、現実を革命的な発展の中で正確かつ具体的に描くことを求めるもので、ソ連のイデオロギーを反映した文学を奨励しました。この方針により、ロシア・アヴァンギャルドなどの前衛的な文学運動は完全に衰退することになりました。社会主義リアリズムに反する作品は、出版や発表が困難となり、多くの作家が活動を制限されました。

一方で、スターリンに近かった旧ラップの主要幹部たちは、大粛清によって処刑されるという悲劇に見舞われました。これは、作家同盟が単なる文学団体ではなく、政治的な影響力が非常に強い組織であったことを示しています。作家同盟は、その後も長年にわたり、ソ連文壇に君臨し続けました。反体制的な作家や作品は、組織によって厳しく弾圧され、追放されることもありました。そのため、作家同盟は、ソ連のプロパガンダを推進する御用組織という側面も持っていました。

しかし、1991年のソビエト連邦の崩壊とともに、作家同盟も解散しました。その後、ロシア作家連合が結成され、現在に至っています。ソビエト連邦作家同盟は、ソ連時代の文学界における最大の組織であり、その活動は、文学作品だけでなく、ソ連の政治や社会にも大きな影響を与えました。

関連文献

『第一回全ソ作家大会報告』ナウカ社、1934年
『第二回全ソ同盟ソヴェト作家大会報告』大月書店（国民文庫）1956年

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