ロジシャン

ロジシャン：英セントレジャー制覇のサラブレッド競走馬

2019年の英セントレジャー（G1）優勝馬として知られるロジシャンは、イギリスを代表するサラブレッド競走馬です。本記事では、その輝かしい競走成績から血統背景、そして毛色をめぐる興味深い議論まで、ロジシャンの生涯を多角的に紐解きます。

華麗なる血統と長距離適性の疑問

ロジシャンの母であるScuffleは、イギリスで10戦3勝の実績を持ち、リステッド競走にも出走しています。さらに遡ると、祖母Tantinaはリステッド競走を2勝、3代母DidinaはアメリカG2競走を制覇するなど、活躍馬を輩出してきた名牝系を受け継いでいます。5代母にはアイルランドG3競走優勝馬もいます。

しかし、ロジシャンの血統には興味深い点があります。叔父にあたるCityscapeは1マイル路線で活躍し、もう一人の叔父Bated Breathも短距離で好成績を残しています。さらに、父である名種牡馬フランケルも主に1マイル戦線で活躍した馬でした。このため、ロジシャンが長距離レースで成功できるかについては、当初から疑問視する声も上がっていました。短距離で活躍した近親馬の影響が、長距離適性にどう影響するのか、注目すべき点でした。

粕毛か芦毛か：毛色をめぐる論争

ロジシャンの毛色は、生産者であるジュドモントファームは「粕毛」としましたが、国際的な競馬情報サイトなどでは「芦毛」と分類されています。粕毛と芦毛は類似した毛色ですが、年齢による変化や白毛の分布に違いがあることが指摘されています。日本のサラブレッド登録では「粕毛」という分類がないため、この論争は、国際的なサラブレッドの毛色分類の現状を示すものでもありました。

驚異の4連勝から英セントレジャー制覇へ

3歳シーズン、ロジシャンはデビューから3連勝を飾り、勢いに乗って臨んだG2グレートヴォルティジュールステークスでも圧勝。英セントレジャーへの出走を決定づける、無敗の4連勝となりました。このレース勝利により、長距離適性に対する疑問は払拭され、英セントレジャーでは圧倒的本命に躍り出ました。

そして迎えた英セントレジャー。後方から鋭く追い込み、レコードタイムでの優勝を果たしました。無傷の5連勝でG1競走を制覇する快挙は、ドンカスター競馬場に集まった観客を熱狂させました。騎手であるランフランコ・デットーリにとっても、英セントレジャー6勝目となりました。

凱旋門賞回避と4歳以降

英セントレジャー制覇後、ロジシャンは凱旋門賞には出走せず、3歳シーズンを終えました。その理由は、同厩舎のスターホースエネイブルの凱旋門賞3連覇挑戦と関係していたと伝えられています。4歳シーズンは、重篤な腹膜炎により長期休養を余儀なくされ、復帰後はかつての輝きを取り戻すことができませんでした。5歳シーズンに現役を引退し、種牡馬として新たな道を歩み始めました。

ロジシャンの競走成績と血統

ロジシャンの競走成績は輝かしいものでしたが、その血統背景や毛色の議論、そして病気による長期休養など、波乱に満ちたキャリアでした。彼の競走成績と血統表の詳細については、Racing Postなどの競馬情報サイトを参照ください。ロジシャンの物語は、サラブレッド競走馬のドラマと、その背景にある複雑な要素を改めて考えさせてくれるものです。

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