芦毛

芦毛について

芦毛は、馬の毛色の一つで、白から灰色の外観を持つ馬を指します。その特徴的な肌色は黒っぽく、白い毛が多く見られるのが一般的です。日本では、通常白馬と呼ばれる場合、白くなった芦毛の馬を指すことが多いです。

特徴

芦毛の馬は、外部から見ると白から灰色の毛色を有し、皮膚は黒いのが特徴です。生まれた時には鹿毛や栗毛などの原毛色に見えることもありますが、成長するにつれて徐々に毛色が白く変わります。この変化は、年齢を重ねることで進行し、完全に白くなった馬でも、黒い肌色は保持されています。例えば、唇や毛の薄い部分で肌の色を確認することが可能です。また、芦毛には特定の疾病が関連しています。代表的なものは黒色腫という腫瘍で、このリスクは芦毛遺伝子と他の毛色関連遺伝子との関係によって高まります。

歴史的には、古代中国の武将項羽が愛した馬の名が「騅」であり、「葦毛の馬」という意味を持ち、彼の愛馬も同様の毛色であったと考えられています。日本では、源平合戦の時代から武将たちに好まれ、円形の灰白色のまだら模様を持つ「連銭葦毛」と呼ばれる種類もありました。

芦毛の遺伝法則

芦毛は、両親のどちらかが芦毛でなければ生まれることはありません。これは、芦毛遺伝子が他の毛色関連遺伝子に対して優性であるためです。たとえ片方の親が芦毛であれば、子馬にもその特性が現れる可能性が高いのです。ただし、白毛や佐目毛という特定の毛色を持つ馬も芦毛遺伝子を保因していることがあります。近年の研究では、父親が芦毛である一方、母親が異なる毛色を持つ場合にも、芦毛の子馬が生まれることがあるという事例も報告されています。

芦毛になるプロセスは、メラノサイトの過剰な増殖によるもので、皮膚が黒く見えつつ、毛根でのメラニン生産が減少し、最終的に毛色が白く変化します。

芦毛遺伝子の発見

長い間、芦毛の原因は不明でしたが、2008年の研究によって、25番染色体に存在するSTX17遺伝子の変異が関与していることが分かりました。この遺伝子の変異は、毛色の発現に重要なメラノサイトに影響を与え、毛根のメラノサイト幹細胞の早期枯渇を促進します。したがって、時が経つにつれて毛色が白く変わる仕組みが明らかになりました。この遺伝子は世界中の芦毛馬に共通して見られ、古い時代に一頭の馬に由来すると考えられています。

競走馬として特に知られるサラブレッドには、18世紀初めにオルコックアラビアンを介して芦毛遺伝子が導入されたとされています。

参考文献

• - Gerli R. Pielberg et al. (2008). "A cis-acting regulatory mutation causes premature hair graying and susceptibility to melanoma in the horse". Nature Genetics 40 (8): 1004 - 1009. doi:10.1038/ng.185.
• - Swinburne, JE; A Hopkins, MM Binns (2002). "Assignment of the horse grey coat colour gene to ECA25 using whole genome scanning". Animal Genetics 33 (5): 338–342.

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