ロジャー・ゲーブ

生涯

ロジャー・ゲーブ（Roger Goeb）は、1914年10月9日にアメリカ合衆国アイオワ州チェロキーで生を受け、1997年1月3日にその生涯を閉じました。アメリカを代表する作曲家の一人です。

幼い頃から音楽に親しみ、ピアノ、トランペット、ホルン、ヴァイオリン、ヴィオラといった様々な楽器の習得に励みました。しかし、音楽の道に進む前に、ウィスコンシン大学で農業を専攻し、1936年に卒業しています。卒業後、彼は2年間ジャズバンドの一員として活動し、生計を立てながら音楽への情熱を深めていきました。

その後、本格的に作曲を学ぶためパリへ渡り、高名なナディア・ブーランジェにエコールノルマル音楽院で師事しました。帰国後も研鑽を続け、オットー・ルーニングの個人指導を受けたほか、ニューヨーク大学の大学院、続いてクリーヴランド・インスティテュートで研究を深め、1942年には音楽修士号を取得しています。さらに3年後の1945年には、交響曲第2番を提出し、アイオワ大学から博士号を授与されました。

作曲家としての活動と並行して、教育者としても後進の指導にあたり、ジュリアード音楽学校やスタンフォード大学といった名門校で教鞭をとりました。

1940年代後半から1960年代半ばにかけて、ロジャー・ゲーブは主に器楽作品の分野で活発な創作活動を展開しました。しかし、1964年に彼の妻と息子が多発性硬化症という難病を相次いで発症したことを機に、家族の看病のため作曲活動を10年以上にわたり中断せざるを得なくなりました。

肉親を失った後、彼は再び創作活動に戻ります。しかし、1986年に脳血管障害に見舞われたことで、以前のような大規模な活動は困難となり、その規模を縮小せざるを得ない状況となりました。

作品

ロジャー・ゲーブは、多岐にわたる器楽曲を残しました。主な作品は以下の通りです。

交響曲

交響曲第1番(1941、破棄)
交響曲第2番(1945)
交響曲第3番(1950)
交響曲第4番(1955)
交響曲第5番(1981)
交響曲第6番(1987)
シンフォニア第1番(1957)
シンフォニア第2番(1962)

協奏曲

コンチェルタント第1番(1948)
コンチェルタント第2番(1950)
コンチェルタント第3番(1951)
コンチェルタント第4番(1951)
コンチェルティーノ第1番(1949)
コンチェルティーノ第2番(1959)
オーボエと弦楽オーケストラのための幻想曲(1952)
ヴァイオリン協奏曲(1953)
ピアノ協奏曲(1954)
ピアノと弦楽オーケストラのための幻想曲(1955)

管弦楽曲

ロマンツァ - 弦楽オーケストラのための(1948)
アメリカン・ダンス第1番～第5番(1952)
ディヴェルティメント - 弦楽オーケストラのための(1982)
メモリアル(1982)
エッセイ(1984)

室内楽曲

弦楽四重奏曲第1番(1943、破棄)
弦楽三重奏曲(1944)
弦楽四重奏曲第2番(1948)
金管七重奏曲(1949)
木管五重奏曲第1番(1949)
チェロとピアノのためのディヴェルティメント(1951)
弦楽四重奏曲第3番(1954)
ピアノ五重奏曲(1955)
木管五重奏曲第2番(1955)
ヴァイオリンとピアノのためのソナタ(1957)
オーボエ四重奏曲(1961)
金管五重奏曲第1番(1980)
弦楽四重奏曲第4番(1980)
木管五重奏曲第3番(1980)
木管五重奏曲第4番(1982)
* 金管五重奏曲第2番(1987)

（参考文献は省略）

ロジャー・ゲーブは、アカデミックな教育と実践的な音楽経験の両方を背景に持ち、個人的な困難を乗り越えつつ、アメリカ音楽の発展に貢献した作曲家と言えるでしょう。

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