ロッキード ジェットスター

ロッキード ジェットスター（Lockheed JetStar）

ロッキード ジェットスターは、アメリカの航空機メーカーであるロッキードが開発したビジネスジェット機です。この機体の型番はL-329およびL-1329で、アメリカ空軍でも「C-140」として採用されました。

開発の経緯

当初、ジェットスターはアメリカ空軍に向けて開発されていましたが、予算の都合で同プロジェクトは中断。一転して、ロッキードは民間市場向けのプロジェクトとして開発を再開しました。1957年9月4日に初飛行を果たした試作機は、当初ブリストル・シドレー製のオーフュースエンジンを搭載していましたが、エンジンのライセンス生産交渉に失敗したため、プラット・アンド・ホイットニー製のJT12エンジンに換装されました。1960年には、このエンジンを装備した生産型が初飛行し、翌1961年からの納入が始まりました。

その一方で、アメリカ空軍もこの機体に16機を「C-140」として調達し、特に飛行点検機として活用されました。これらの機体は1980年代まで使用されており、最後の機体はイリノイ州のスコット空軍基地で展示されています。

進化と改良

船舶の騒音規制が厳格化される中、ロッキードは燃費や音響特性を改善するための改良型の開発に取り組みました。その結果、1976年から1979年にかけて「ジェットスター2」を生産しました。この新型は、ギャレット・エアリサーチのTFE731エンジンを使用し、より長い航続距離と静音性を実現しました。

構造と特徴

ロッキード ジェットスターは、30度の後退角を持つ主翼を特徴とし、燃料タンクを取り付けています。また、尾翼は十字型で、流体力学的な効率性を高める設計がなされています。さらに、降着装置は三脚三輪で、事故後にノーズギアがダブルタイヤに改良されました。

この機体は、最大巡航速度がM0.8に達し、8名または10名の乗客を収容可能なキャビンを持っています。キャビンの設計には通路があり、立ったまま移動することができることは、このサイズの機体としては珍しい特徴です。

型式の分岐

ジェットスターにはいくつかのバリエーションが存在します。初期型の「ジェットスター1」、エンジンを改造した「ジェットスター731」、そして改良型の「ジェットスター2」が含まれます。また、空軍にはC-140AやC-140Bといった軍用バージョンも存在し、VIP機としても各国で運用されてきました。

事故と安全性

1995年には、イラン空軍が運用していたジェットスターの機体が緊急着陸に失敗し、乗員・乗客全員が犠牲になるという痛ましい事故が発生しました。この事故は、ジェットスターの安全性に対する懸念を呼ぶきっかけとなりました。

採用国

ロッキード ジェットスターは、アメリカのほかにインドネシア、イラク、イラン、カナダ、クウェート、サウジアラビア、ドイツ、メキシコ、リビアなど多くの国で運用されてきました。

結論

ロッキード ジェットスターは、多岐にわたるモデルと軍民両用の運用が可能な機体であり、航空機の歴史において重要な役割を果たしました。その革新的な設計とエンジン技術は、今なお多くの航空機に影響を与えています。

もう一度検索