ロッド・エヴァンス

ロッド・エヴァンス：栄光と波乱の音楽人生

ロッド・エヴァンス（Rod Evans , 1947年1月19日 - ）は、イングランド出身のヴォーカリストであり、伝説的ロックバンド、ディープ・パープルのオリジナル・メンバーとしてその名を刻みました。彼の音楽キャリアは、栄光と波乱に満ちたものでした。

生い立ちと黎明期

スラウで生まれたエヴァンスは、少年時代からロックンロールに魅了され、音楽への情熱を抱きます。中学校卒業後、彼はロンドンへと拠点を移し、本格的な音楽活動を開始しました。

1965年頃、エヴァンスはMI5というバンドに加入し、音楽キャリアをスタートさせます。MI5はその後、メイズ（The Maze）と改名。ドラマーのイアン・ペイスを迎え、1967年にはシングル・レコードを数作リリースしますが、残念ながら成功には至りませんでした。

ディープ・パープル時代

1967年12月、エヴァンスはジョン・ロードとリッチー・ブラックモアが結成したラウンドアバウトのオーディションに合格し、新たな道を歩み始めます。ラウンドアバウトは1968年夏にディープ・パープルと改名し、デビューを果たしました。エヴァンスが在籍した期間、バンドは3枚のアルバムを発表し、「ハッシュ」や「ケンタッキー・ウーマン」といったヒット曲を生み出しました。しかし、1969年4月から5月にかけて行われたアメリカ・ツアー中、ロードとブラックモアは音楽性の違いからエヴァンスの解雇を決意。彼は同年7月4日のカーディフ公演を最後にディープ・パープルを脱退し、後任にはイアン・ギランが迎えられました。

キャプテン・ビヨンドでの活動

ディープ・パープル脱退後、エヴァンスはアメリカに渡り、キャピトル・レコードと契約。ソロ・シングルを録音しますが、これはお蔵入りとなります。1971年、彼は元アイアン・バタフライのメンバーらとキャプテン・ビヨンドを結成し、新たな音楽性を追求しました。1972年7月にデビュー・アルバムを発表し、高い評価を得ましたが、商業的には成功を収めることができませんでした。エヴァンスは1973年にバンドを脱退し、キャプテン・ビヨンドもメンバーチェンジを繰り返し、1973年に活動を休止しました。

偽ディープ・パープル騒動

1980年、エヴァンスは「偽ディープ・パープル騒動」という、ロック史に残る事件を起こします。彼は解散したディープ・パープルの名前を騙り、無許可でバンドを結成し、活動を行ったのです。無名のミュージシャンを集め、ディープ・パープルと名乗るバンドでコンサートを開催しましたが、その内容は本物とはかけ離れたものでした。観客は激怒し、ステージに物を投げつけるなどの騒ぎも発生しました。この行為に対し、ディープ・パープルのマネージャーは訴訟を起こし、エヴァンスは多額の損害賠償を命じられました。さらに、彼はディープ・パープルのアルバムの印税を受け取る権利も失いました。

その後

この騒動の後、エヴァンスは音楽業界から姿を消し、公の場に現れることはありませんでした。ディープ・パープルのメンバーとの関係も断絶したまま、2016年にディープ・パープルがロックの殿堂入りを果たした際も、彼は授賞式を欠席しました。

ロッド・エヴァンスの音楽キャリアは、その才能と実績にもかかわらず、騒動によって大きく影を落とすこととなりました。彼の音楽史における評価は、今後も議論の余地を残すものとなるでしょう。

ディスコグラフィ

ディープ・パープル
ハッシュ - Shades of Deep Purple (1968年)
詩人タリエシンの世界 - The Book of Taliesyn (1968年)
ディープ・パープル III - Deep Purple (1969年)
キャプテン・ビヨンド
キャプテン・ビヨンド - Captain Beyond (1972年)
* 衝撃の極地 - Sufficiently Breathless (1973年)

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