ロドスの中世都市

ロドスの中世都市

ロドスの中世都市は、ギリシャのロドス島にある世界遺産です。この都市は、かつて聖ヨハネ騎士団が築いた城塞都市であり、その特徴が良好に保存されています。中世ヨーロッパの都市の優れた例として、世界的に評価されています。

歴史

この都市の歴史は、聖ヨハネ騎士団と深く関わっています。1307年に聖堂騎士団が迫害された後、騎士団はイタリアを離れてロドス島を占領し、本拠地としました。1309年には教皇クレメンス5世が騎士団によるロドス島の所有を認め、その後約2世紀にわたり、ロドス島は騎士団の拠点であり続けました。

1444年には、エジプトのマムルーク船団がロドス島を攻囲しましたが、騎士団はブルゴーニュ公国の海軍司令官ジョフロワ・ド・トワジの助けを得て撃退しました。しかし、1453年のコンスタンティノープル陥落後、オスマン帝国が勢力を拡大し、1480年にはスルタンのメフメト2世がロドスへの侵攻を開始しました。騎士団は陸海ともに奮戦し、オスマン帝国軍を撃退しましたが、この戦いは、ロドス島が西ヨーロッパをオスマン帝国の侵攻から守る防波堤としての役割を果たしたことを示しています。

1480年のオスマン帝国撃退後、騎士団長のファブリツィオ・デル・カッレートは都市防衛の強化に取り組み、1521年にはロドスの城塞都市はキリスト教圏で最も堅牢な要塞となりました。しかし、ロドス騎士団がムスリム商人への攻撃を続けたことが原因で、1522年にオスマン帝国のスレイマン1世による第二次ロドス攻囲が始まりました。数で劣る騎士団は必死に防衛しましたが、最終的にスレイマン1世と協定を結び、騎士団は財産と共に島を去ることになりました。1523年1月1日、騎士団は島を離れ、ロドス島はオスマン帝国の支配下に入りました。

建築

城塞都市

ビザンティン帝国時代に築かれた都市は、14世紀から15世紀にかけて聖ヨハネ騎士団によって拡張され、要塞化されました。この城塞都市が中世のロドスの市域を定め、その防御設備は11の門、多数の防壁、そして水のない堀で守られていました。16世紀以降のオスマン帝国支配下でもこの構造は維持され、20世紀には修復も行われました。この城塞都市の建造物群は、ヨーロッパに現存する中世防衛施設群の中でも最大級のものです。

現在のロドス市の旧市街がこの城塞都市にあたります。北側のカステロ地区は騎士団が居住し、南側のコラ地区は一般住民が居住していました。

騎士団長の館

この館は、もともと7世紀にビザンティン帝国下で都市の軍事拠点として丘の上に建設されました。1309年以降は聖ヨハネ騎士団長の邸宅兼行政府として使用され、1522年のオスマン帝国による占領後は監獄として使われました。1856年に火薬庫の爆発で崩壊しましたが、1937年にイタリア人によって再建されました。再建に際して歴史的な改変が加えられたものの、現在もロドス市の主要な観光名所となっています。館の外側には、15世紀末に建設された美しい旧施療院を転用した考古学博物館があります。

登録基準

ロドスの中世都市は、以下の世界遺産登録基準を満たして登録されました。

(2) ある期間を通じてまたはある文化圏において、建築、技術、記念碑的芸術、都市計画、景観デザインの発展に関し、人類の価値の重要な交流を示すもの。
(4) 人類の歴史上重要な時代を例証する建築様式、建築物群、技術の集積または景観の優れた例。
* (5) ある文化（または複数の文化）を代表する伝統的集落、あるいは陸上ないし海上利用の際立った例。もしくは特に不可逆的な変化の中で存続が危ぶまれている人と環境の関わりあいの際立った例。

ロドスの中世都市は、中世ヨーロッパの城塞都市の優れた例であり、その歴史と建築は、訪れる人々に深い感動を与え続けています。

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