ロドス包囲戦 (1522年)

1522年 ロドス包囲戦：オスマン帝国による聖ヨハネ騎士団の駆逐

1522年に起こったロドス包囲戦は、オスマン帝国が聖ヨハネ騎士団をロドス島から完全に駆逐した戦いです。この戦いの結果、オスマン帝国は東地中海における覇権を確立し、聖ヨハネ騎士団はシチリア島へと撤退、後にマルタ島へ拠点を移し、オスマン帝国への抵抗を続けました。

背景

13世紀末、十字軍最後の拠点であったアッコが陥落した後、聖ヨハネ騎士団は14世紀初頭にビザンツ帝国領であったロドス島を占領しました。ロドス島はエーゲ海交易の要衝であり、騎士団はイスラーム諸国に対し海賊行為を活発に行い、東地中海を支配しました。オスマン帝国は1480年にメフメト2世の時代に最初のロドス島攻撃を試みましたが、これは失敗に終わっています。アナトリアからレバントへと勢力を拡大しようとしていたオスマン帝国にとって、ロドス島の聖ヨハネ騎士団は避けて通れない障害でした。

聖ヨハネ騎士団は、十字軍の時代から要塞の構築と防衛を基本戦略としていました。1480年の戦争後、大砲の火線との連携を重視した新しい技術である星型要塞の理論を積極的に取り入れ、ロドス島の城塞に数々の改良を施しました。陸からの攻撃が最も激しくなると予想される方面では空堀の幅を倍にし、従来の傾斜防壁を多くの凹角堡に置き換え、ほとんどの塔の周囲に堡塁を設け、堀の中で敵に縦射を浴びせるカポニールを築きました。城門の数を減らし、旧式の胸壁は砲撃を想定した傾斜のあるものに変更されました。これらの工事には多くの石工や労働者が動員されましたが、特に騎士団に捕らえられ奴隷にされたムスリムは過酷な重労働を強いられました。

1521年、フィリップ・ヴィリエ・ド・リラダンが聖ヨハネ騎士団の総長に選出されました。オスマン帝国の侵攻が迫る中、リラダンは要塞の増強を進める一方で、ヨーロッパ各地に散らばっていた騎士団員をロドス島に集結させ、防衛体制を固めました。しかし、ヴェネツィアがクレタ島から派遣した援軍を除き、ヨーロッパ諸国は聖ヨハネ騎士団に一切の支援を行いませんでした。騎士団内でも、イングランドからの参戦者はジョン・ローソンただ一人でした。ロドスの町は、二重または三重の石壁といくつかの大きな堡塁で守られており、それぞれの堡塁は1301年に定められた割り当てに従い、各ラングエ（騎士団の構成単位）が担当しました。最終的に防衛に参加した騎士の出身国は、スペイン、フランス、ドイツ、イタリア、イングランド、ポルトガルでした。港は聖ヨハネ騎士団の船を収容した後、オスマン海軍の侵入を防ぐために巨大な防鎖で封鎖されました。

オスマン帝国の侵攻

1522年6月26日、チョバン・ムスタファ・パシャ率いる400隻のオスマン軍がロドス島に到着しました。さらに7月28日には、スレイマン1世が10万の兵を率いて上陸し、自ら指揮を執りました。

オスマン海軍は港湾を封鎖し、上陸した陸軍は大砲で市街を砲撃しつつ、要塞への攻撃をほぼ毎日続けました。しかし、城壁に対する砲撃は効果が薄かったため、城壁の下に向けてトンネルが掘り進められました。9月4日には2つの坑道で火薬を爆発させ、イングランド砦の防壁を11メートルにわたって崩落させました。ただちに歩兵がこの地点から強襲をかけ、イングランド砦は一時的に占領されましたが、騎士団は総長リラダン自らの指揮により砦を奪還しました。同日、オスマン軍は2度にわたり同様の強襲を仕掛けましたが、いずれも撃退され、イングランド軍団とドイツ軍団によって城壁の崩落部は修復されました。

9月24日、ムスタファ・パシャはスペイン砦、イングランド砦、プロヴァンス砦、イタリア砦に対する同時総攻撃を命じました。スペイン砦などでは2度も占有者が入れ替わる激戦となりましたが、攻め切れないと判断したスレイマン1世は攻撃を中止させました。この攻撃失敗の責任により、スレイマン1世はムスタファ・パシャを処刑しようとしましたが、他の重臣の説得により司令官の解任にとどめました。新たに指揮を執ることになったアフメト・パシャは攻城戦の専門家であり、彼の指揮下でオスマン軍の戦略は、坑道掘削からの城壁爆破と絶え間ない砲撃を主軸とするようになりました。中世の都市であるロドスの市街の排水渠は、オスマン軍の工兵にとって格好の目印となりました。

11月末、オスマン軍は再び大規模な総攻撃を仕掛けましたが、これも要塞を完全に制圧するには至りませんでした。この時点で、両陣営ともに疲弊が頂点に達していました。騎士団にはもはや無傷の者はおらず、一部隊に援軍を送るような余裕もありませんでした。オスマン軍も戦闘や疫病によって膨大な死者を出し、士気が低下していました。スレイマン1世はロドスの市民に対し、降伏すれば生命、安全、食料を保証するという条件を提示しました。これはオスマン帝国が提示する降伏条件としては非常に緩いものであり、これを受け入れなければ、死ぬか奴隷になるかの二択しかありませんでした。市民の要求により、リラダンら騎士団も和平交渉の席に着くことを決断し、交渉のため12月11日から13日にかけて停戦が結ばれました。しかし、市民が自分たちの安全をより強固に保証するよう求めたことに腹を立てたスレイマン1世は、要塞への砲撃と強襲の再開を命じました。12月17日、スペイン砦が陥落し、もはやほとんどの城壁が崩壊し、全要塞の陥落も時間の問題でした。12月20日、リラダンは市民の圧力により、再び停戦と交渉を申し出ました。

終戦

12月22日、ラテン市民とギリシア市民それぞれの代表がスレイマンの和平案を受け入れました。騎士団は12日以内にロドス島から退去することを求められましたが、この際、武器や宗教的な宝物、絵画を持ち出すことが許可されるという極めて寛大な条件でした。島民のうち離島を希望する者にはその自由と3年の猶予が与えられ、残留を希望する者はオスマン帝国の支配下に入っても5年間は納税を免除されました。キリスト教の教会が汚辱を受けることも、モスクに改造されることもありませんでした。

1523年1月1日、最後に残っていた騎士たちが市街を出発しました。彼らは騎士団旗を掲げ、ドラムを鳴らし、軍装に身を固めて行進するという名誉ある撤退を遂げました。彼らは離島する住民数千人とともに50隻の船に乗り、ヴェネツィア領クレタ島へと退去しました。

戦後

ロドス島包囲戦はオスマン帝国の勝利に終わりました。東地中海の重要拠点を獲得したことで、コンスタンティノープルとエジプト（アレクサンドリアおよびカイロ）の間で容易に連絡が取れるようになりました。後に1669年、オスマン帝国はヴェネツィア領クレタ島を征服する際、ロドス島を拠点として大いに利用しました。

聖ヨハネ騎士団はシチリア島などを転々とした後、神聖ローマ皇帝カール5世からマルタ島、ゴゾ島、北アフリカのトリポリを与えられました。その後のロドス島奪回の試みは成功しませんでしたが、43年後のマルタ包囲戦ではオスマン帝国を撃退することに成功しました。

文化的影響

1656年には、ウィリアム・ダヴェナントが史上初の英語オペラ「ロードス包囲戦」を作曲しました。

塩野七生著の『ロードス島攻防記』(新潮文庫)も有名です。

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