ロナルド・エヴァンス

ロナルド・エヴァンス：月を周回した宇宙飛行士

ロナルド・エヴァンス（Ronald Ellwin Evans, Jr、1933年11月10日 - 1990年4月7日）は、アメリカ航空宇宙局（NASA）の宇宙飛行士であり、アポロ計画において月を訪れた24人のうちの一人です。彼はアポロ17号の司令船パイロットとして、月周回軌道からの観測と地球への帰還途中の宇宙遊泳で重要な役割を果たしました。

生い立ちと初期のキャリア

1933年、カンザス州セントフランシスで生まれたエヴァンスは、幼少期からボーイスカウトに所属し、ライフスカウトまで昇進しました。ハイランドパーク高校を卒業後、1956年にカンザス大学で電子工学の学位を取得。その後、1964年には海軍大学院で航空工学の修士号を取得しました。

1957年6月、カンザス大学の予備役将校訓練課程を修了後、彼は飛行訓練を完了。ベトナム戦争中には空母タイコンデロガに搭乗し、宇宙飛行士プログラムへの選出を知らされました。彼の総飛行時間は5100時間に及び、そのうち4600時間は航空機での飛行でした。

NASAでのキャリア

エヴァンスは1966年にNASAによって選ばれた19人の宇宙飛行士の一人でした。アポロ7号とアポロ11号のミッションでは支援要員として活動し、アポロ14号では司令船パイロットのバックアップを務めました。

彼にとって最初で唯一の宇宙飛行となったのは、アメリカ最後の有人月探査ミッションであるアポロ17号でした。彼は司令船「アメリカ」のパイロットとして、ユージン・サーナンとハリソン・シュミットが月面を歩いている間、月周回軌道に留まり、地質観測と写真撮影を行いました。

地球への帰還途中、エヴァンスは1時間6分の宇宙遊泳を行い、3台のカメラカセットを回収しました。彼は合計301時間51分を宇宙で過ごし、そのうち1時間6分が船外活動でした。彼は月軌道上の滞在時間の最長記録保持者です。

その後、エヴァンスはアポロ・ソユーズテスト計画で司令船パイロットのバックアップを務めました。彼は21年間勤務したアメリカ海軍を1976年4月30日に退職し、NASAのスペースシャトル計画に携わりました。宇宙飛行士室では、操作・訓練グループに所属し、スペースシャトルの打ち上げと下降段階を担当しました。

NASA退職後のキャリアと遺産

1977年3月にNASAを退職後、エヴァンスは石炭産業の重役となりました。彼はNASA Distinguished Service Medal（1973年）、Johnson Space Center Superior Achievement Award（1970年）、Navy Distinguished Service Medal（1973年）など、数々の賞を受賞しています。また、1973年にはthe University of Kansas Distinguished Service Citation、1972年にはKansan of the Yearに選ばれました。

1990年4月7日、エヴァンスはアリゾナ州スコッツデールで心臓発作により死去しました。妻のジャンと2人の子供が残されました。

興味深いことに、彼が宇宙船内で着用していた船内服は日本にあり、2009年8月11日放送の『開運!なんでも鑑定団』で1億3,000万円と鑑定されました。これは単品としては歴代5位の超高額鑑定であり、現在は財団法人日本宇宙フォーラムが管理しています。

ロナルド・エヴァンスの功績は、宇宙探査の歴史において重要な位置を占めています。彼の月周回軌道での貢献と宇宙遊泳は、アポロ計画の成功に不可欠であり、未来の宇宙開発に大きな影響を与え続けています。

もう一度検索