ロナルド・トビ

ロナルド・トビ

ロナルド・P・トビ（Ronald P. Toby, 1942年 - ）は、アメリカ合衆国出身の歴史学者であり、近世・近代東アジア史を専門としています。イリノイ大学の名誉教授を務めています。

経歴

1942年、ニューヨーク州で生まれました。コロンビア大学にて日本語、朝鮮語、歴史、文化を学び、日本近世史を専攻。1977年にコロンビア大学で博士号を取得しました。

コロンビア大学、カリフォルニア大学バークレー校、東京大学史料編纂所を経て、イリノイ大学歴史学部の教授に就任。イリノイ大学では、日本および東アジアの近世・近代史に関する科目を担当しました。在任中には、早稲田大学や慶應義塾大学など、日本の大学でも研究に従事しました。

受賞・栄典

2012年、日本研究の分野における長年の功績が認められ、第1回日本研究功労賞を受賞しました。

研究内容・業績

トビ教授の主要な研究テーマは、江戸時代の朝鮮通信使です。彼は、この通信使に焦点を当てることで、これまで「鎖国」という言葉で一括りにされてきた日本近世史に対する新たな視点を提示しました。従来の鎖国という概念にとらわれず、当時の日本がアジア地域において果たしていた役割や、外交、文化交流の実態を詳細に分析することで、より多角的な歴史像を描き出すことを試みています。

著作

2004 — Emergence of Economic Society in Japan, 1600-1870 with Hayami Akira and Osamu Saitō. Oxford: Oxford University Press.
1983 — State and Diplomacy in Early Modern Japan: Asia in the Development of the Tokugawa Bakufu. Princeton: Princeton University Press.
邦訳『近世日本の国家形成と外交』速水融,川勝平太,永積洋子訳 創文社 1990
1977 — The Early Tokugawa Bakufu and Seventeenth Century Japanese Relations with East Asia. Ph.D. thesis, Columbia University.
1974 — Korean-Japanese Diplomacy in 1711: Sukchong's Court and the Shogun's Title. M.A. thesis, Columbia University.
『日本海学の新世紀 2 環流する文化と美』青柳正規共編 角川書店 2002
『「鎖国」という外交 新視点近世史 (全集 日本の歴史 9)』小学館、2008
「第7章 繁栄と衰退の歴史に学ぶ」『興亡の世界史 人類はどこへ行くのか』青柳正規・陣内秀信・ロナルド・トビ共著 講談社 2009(講談社学術文庫：2019年)
* 『絵図学入門』杉本史子,礒永和貴,小野寺淳,中野等,平井松午共編 東京大学出版会 2011

トビ教授の研究は、日本の近世史研究に大きな影響を与え、国際的な学術交流にも貢献しています。

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