速水融

速水 融の生涯と業績

速水 融（はやみ あきら、1929年10月22日 - 2019年12月4日）は、日本の経済学界に名を馳せた学者です。彼は歴史人口学と日本経済史を専門とし、文化勲章を受章した実績を持つ人物であり、従三位の位階を持ちます。また、名誉教授として数々の大学で後進の指導にも尽力しました。

来歴

東京都出身の速水は、東京府立一中を経て1950年に慶應義塾大学経済学部に入学し、高村象平の指導のもと、卒業論文「イギリス重商主義」を執筆しました。1966年には同大学で経済学博士の学位を取得し、研究者としての第一歩を踏み出します。その後、江戸時代の漁業史を研究する中で、慶應義塾大学にて長年にわたり教鞭を執り、教授に就任しました。

また、国際日本文化研究センターや麗澤大学でも教授として活躍し、学生たちに多大な影響を与えました。彼が育てた学生には著名な研究者が多く、その中には「武士の家計簿」の著者として知られる磯田道史もいます。

受賞歴

速水は数多くの名誉と賞を受けました。1994年には紫綬褒章、1995年には日本学士院賞を受賞。2000年には文化功労者として表彰され、2001年に日本学士院の会員に選ばれました。さらに、2009年には文化勲章、2010年には杉並区の名誉区民に選出されるなど、その業績は広く評価されています。彼は2019年に90歳で亡くなり、死後に従三位に叙されました。

歴史人口学の導入

速水は1964年にゲント大学での留学をきっかけに歴史人口学に目覚めました。この分野では、特定地域の人口動態を追跡する手法を開拓し、日本の江戸時代における経済を理解するための基盤となる研究を行いました。著書『歴史人口学で見た日本』ではその成り立ちと成果を詳述しており、歴史人口学の確立に寄与しました。

勤勉革命の提唱

速水は西欧の産業革命に対し、日本の江戸時代にも経済成長が見られる点を指摘し、「勤勉革命」を提唱しました。彼は日本の農業における労働力の変化を詳細に分析し、江戸時代には労働力の割合が増加していることを明らかにしました。このような日本独自の経済成長を説明する理論は、西欧の産業革命とは反対の現象であり、後の経済史研究に大きな影響を与えました。彼の概念は国内外で議論を巻き起こし、特にヨーロッパの経済史研究に影響を与えました。

著作

速水の著作は多岐にわたり、自身の専門分野において数多くの書籍を執筆しました。代表的な著書には『日本経済史への視角』や『歴史人口学の世界』、『日本を襲ったスペイン・インフルエンザ』などがあり、それぞれの書籍で彼の学問的見地を広めました。これらの作品は、教育や研究の資料として今なお利用されています。

結論

速水融は、経済学における重要な功績を持つ学者であり、歴史人口学や勤勉革命の提唱を通じて日本経済史の新たな視点を提供しました。彼の影響は多くの後進に受け継がれ、今なお多くの研究にインスピレーションを与え続けています。

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