ロニー・サイカリー

ロニー・サイカリー：バスケットボールと音楽、二つの才能を開花させた男

ロニー・サイカリー（Ronald Fred Seikaly, 1965年5月10日 - ）は、レバノン出身の元プロバスケットボール選手であり、引退後はDJ、音楽プロデューサーとしても活躍しています。211cmの長身を活かし、NBAでセンターとして名を馳せ、その後音楽の世界でも成功を収めた異色の経歴を持つ人物です。

生い立ちとバスケットボールとの出会い

1965年、レバノンのベイルートで生まれたサイカリーは、10歳の時にギリシャのアテネに移住。幼少期はバスケットボールだけでなく、バレーボール、サッカー、陸上競技など、様々なスポーツに親しんでいました。また、14歳からDJを始めたという多才さも持ち合わせていました。

1981年、パナシナイコスBCのバスケットボール選手、タキス・コロネオスに見出され、パナシナイコスのシニアチームの練習に参加するようになりました。1982年にはキプロスで行われた試合に同チームの一員として出場。しかし、ギリシャのパスポートを持っていなかったため、ギリシャ・バスケットボールリーグの公式戦には出場できませんでした。

アメリカでの大学時代

1983年12月、アメリカに渡り、ニューヨーク州のシラキュース大学に入学。シラキュース・オレンジでセンターを務めました。当初はファウルが多く、苦戦しましたが、リバウンダーおよびショットブロッカーとして徐々に才能を開花。3年次の1987年には、NCAAトーナメントでチームをファイナルフォーに導く活躍を見せました。

大学では、3年次と4年次にビッグ・イースト・カンファレンスのセカンドチームに選出。卒業時には、大学の通算記録でリバウンド1位、ブロックショット2位、得点4位という輝かしい成績を残し、大学のオール20世紀チームにも選ばれ、背番号4番は永久欠番となりました。

NBAでの活躍

1988年のNBAドラフトで、マイアミ・ヒートから1巡目全体9位で指名を受け、NBA入り。レバノン生まれの選手として初めてNBAドラフトで指名された選手となりました。1年目からヒートの主力選手として活躍し、リーグのトップセンターの仲間入りを果たしました。

2年目の1989-90シーズンには、チームトップの平均16.6得点、リーグ6位の10.4リバウンドを記録し、MIP（最も成長した選手賞）を受賞。その後も、グレン・ライスやスティーブ・スミスといった強力なチームメイトと共に、ヒートを初のプレーオフ進出に導くなど、チームの中心選手として活躍しました。

ヒート退団後は、ゴールデンステート・ウォリアーズ、オーランド・マジック、ニュージャージー・ネッツなどを経て、2000年にはスペインリーグのFCバルセロナ・バスケットにも在籍しました。

国際舞台での活躍

アメリカに帰化後、1986年のグッドウィルゲームズ、1986年バスケットボール世界選手権にアメリカ代表として出場し、いずれも金メダルを獲得。その後、FIBAにレバノン代表でのプレーを申請し、1999年の西アジアバスケットボール選手権に出場しました。

引退後：DJ、音楽プロデューサーとしての新たな挑戦

現役引退後、サイカリーはDJや音楽プロデューサーに転身。2010年以降には多くのEPをリリースし、音楽の世界でも才能を発揮しています。

人物像

シラキュース大学時代は、インサイドでの得点力とリバウンドでゲームを支配しましたが、フリースローは苦手としていました。ローポストからのスピンムーブを得意とし、ヒート在籍時には「スピンドクター」と呼ばれていました。

レバノン出身のNBA選手は、彼とスティーブ・カーしかいません。ただし、カーはベイルートに駐在したアメリカの外交官の息子です。

ロニー・サイカリーは、バスケットボール選手としての輝かしいキャリアに加え、音楽の世界でも成功を収めた、まさに多才な人物と言えるでしょう。

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