ロバと王女

ロバと王女の概要

『ロバと王女』（英題：Donkey Skin）は、1970年にフランスで公開されたミュージカル映画です。本作は、著名な監督ジャック・ドゥミの手によって制作され、主演にはカトリーヌ・ドヌーブやジャン・マレーが名を連ねています。また、映画音楽はミシェル・ルグランが担当し、映画全体にメロディックな魅力を加えています。本作品は、シャルル・ペローによる童話『ロバの皮』を基にしており、物語は王とその娘である王女との禁断の愛を描いています。

ストーリーのあらすじ

この映画では、ある王国で起こった悲劇的な出来事から物語が始まります。王は、妻である王妃の死の直後、彼女の遺言に従い、王妃と同じくらい美しく、徳を持つ女性としか再婚しないと誓います。王妃の死後、王は、世継ぎを持つために再婚を迫られますが、彼の欲望の対象はなんと自分の娘、王女でした。王女はこの状況を避けるため、妖精のリラから無理難題を提示されます。空の色、月の色、太陽の色のドレスを作るという要求をするのですが、王はそれに応じ、さらには王女のために貴重なロバを殺し、その皮を贈ります。

王女は近親婚を避けるため、ロバの皮を纏って王国を逃れます。ロバの皮を着た王女は、次第に新たな国で豚飼いとして働くことになります。そこで偶然出会った王子は、王女に心を奪われ、彼女を助けるためには自分が病気から回復する必要があると言い出します。病床にある王子が、「ロバの皮」から特別なお菓子を作ってくれるようお願いすると、王女は自身の指輪をケーキの中に忍ばせ、焼き上げます。その指輪を発見した王子は、自分が探していた女性がそこにいると気づき、彼女との結婚を決意します。

登場人物とキャスト

映画には数多くの魅力的なキャストが集まりました。王妃と王女「ロバの皮」を演じたのはカトリーヌ・ドヌーブで、彼女の歌唱も印象的です。王はジャン・マレーが演じ、王子はジャック・ペランが務めています。他にも、リラの妖精を演じるデルフィーヌ・セイリグや、赤の国の王妃を演じるミシュリーヌ・プレールといった才能が揃っています。

制作の背景

ジャック・ドゥミは子供の頃からシャルル・ペローの作品に魅了され、1962年頃からこの映画の脚本執筆に取り組み始めました。本作を成功させるために、カトリーヌ・ドヌーブの出演が鍵となり、彼女のキャスティングによって制作の道が開けました。また、撮影技法においても、スローモーションやリバースモーションといった独特の手法が用いられ、1946年の映画『美女と野獣』からの影響も見受けられます。

結論

『ロバと王女』は、ドゥミの作品の中でも特に成功した映画の一つであり、フランス全体で219万8576人の観客を動員しました。美しい音楽と、幻想的な物語が織りなすこのミュージカル映画は、今なお多くの人々に愛され続けています。

もう一度検索