ロバの皮

ロバの皮

『ロバの皮』は、フランスの作家シャルル・ペローによって1695年に初めて出版された童話で、その後、1697年に『過ぎ去った昔の物語と教訓』という短編集に収められました。この物語は、アールネ・トンプソンによる民話のタイプ・インデックスで510Bに分類され、しばしば不自然な愛情の形を描いた作品として知られています。似た物語には『千匹皮』や『娘と結婚したい王様』などがあります。

あらすじ

物語の舞台は、王と王妃、そしてその美しい娘が住む幸福な王国です。しかし、王妃が病気で亡くなった後、王は再婚を決意します。彼は「王妃よりも美しい女性」でなければ結婚しないと誓っていましたが、次第にその理想の女性が王女であることに気付くのです。この求婚に驚いた王女は、様々な華麗なドレスを持っていなければ結婚しないと条件を出します。その美しいドレスたちが手に入ると、王女はさらなる要求をします。「黄金を生むロバの皮」を手に入れてこなければ、結婚はしないと。

王はその難題をクリアし、ロバの皮を手に入れますが、その皮を身にまとうと、王女は自らの美しさを隠すために城を逃げ出してしまいます。彼女は遠い異国で、見かけが汚れた仕事に従事しながら、自身の美貌を隠す生活を強いられます。そんな彼女を一人の王子が見初め、強い恋心を抱くことになります。

王子は、王女に特別なケーキを焼くことを求め、その中に自分の指輪を忍ばせるように命じます。指輪が見つかった時、王子はそれにぴったり合う手を持つ女性を見つけなければ結婚はしないと断言します。指輪が誰とも合わない中、汚れた姿の王女が手を差し出すと、不思議なことに指輪はぴったりと合います。

その後、王女と王子の祝福された結婚式が行われますが、そこにはかつて王女に恋焦がれていた王も出席しています。時の流れとともに彼の心は清められ、二人の幸せを祝福することができるようになっていました。この物語は、愛の苦悩と自己のアイデンティティの追求を描きながら、最終的には真実の愛が勝利するというメッセージを伝えているのです。

関連作品

この物語は、ジャック・ドゥミが監督し、ジャン・マレーとカトリーヌ・ドヌーヴが主演した1970年の映画『ロバの皮』とも関連があります。さらに、『完訳 ペロー童話集』では新倉朗子による日本語訳が収められており、フランス童話の魅力を引き出しています。

また、ウィキメディア・コモンズにはこの作品に関するさまざまなメディアがありますので、興味がある方はぜひご覧ください。

もう一度検索