ロバート・ヴォーン

ロバート・フランシス・ヴォーン：アメリカの名優の軌跡

ロバート・フランシス・ヴォーン（1932年11月22日 - 2016年11月11日）は、アメリカの舞台、映画、テレビドラマで活躍した俳優で、特に1960年代に人気を博した。彼はテレビシリーズ『0011ナポレオン・ソロ』の主役として有名で、以降もさまざまな役柄で俳優人生を全うした。

生い立ちと学問

ニューヨーク出身のヴォーンは、アイルランド系のカトリック家庭に生まれ育ちました。父親のジェラルドはラジオ劇の俳優で母親は舞台俳優として活動していましたが、両親は早くに離婚。ヴォーンは母と共にミネソタ州に移り住み、祖父母に育てられました。高校卒業後はミネソタ大学でジャーナリズムを学ぶも中退し、後にロサンゼルスへ移住。ロサンゼルス・シティー・カレッジに入学し演劇を学び、その後カリフォルニア州立大学で演劇学の修士号を取得します。最終的には南カリフォルニア大学でコミュニケーション論の博士号も取得しました。

俳優の道

1956年、ヴォーンはセシル・B・デミルが監督した映画『十戒』にエキストラとして出演。1958年にはロジャー・コーマン監督の『恐怖の獣人』で映画初主演を果たします。その後、1960年には西部劇『荒野の七人』に出演し、これが大きな転機となりました。この映画での演技が評価され、彼は名声を手にします。

1964年から1968年まで、テレビシリーズ『0011ナポレオン・ソロ』にデヴィッド・マッカラムと共演。主役のソロを演じたヴォーンは当初マッカラムの人気に影を潜めるも、シリーズ全体の人気が高いため、ヴォーン自身もスターとしての地位を確立しました。日本ではこのシリーズが再編集された長編映画が劇場公開され、多くのファンを魅了しました。

その後も戦争映画『レマゲン鉄橋』やサスペンス映画『ブリット』などで知的な悪役を演じ、名脇役としての地位を築いていきました。また、1974年には『タワーリング・インフェルノ』に友情出演し、スティーヴ・マックィーンと共演しました。

日本との関わり

ヴォーンは日本の映画にも関与しており、1980年の『復活の日』や1988年の『アナザー・ウェイ ―D機関情報―』に出演しました。これにより、日本のファンにも広く知られる存在となり、来日経験もあります。日本でのテレビシリーズ『特攻野郎Aチーム』や『刑事コロンボ』にも出演し、彼の演技は多くの視聴者に愛されました。

彼はまた、1978年にNHKの『権力と陰謀』でエミー賞助演男優賞を受賞するなど、テレビ界でも活躍を見せました。70年代には欧州映画にも出演し、後にはイタリアや南アフリカの低予算映画にも顔を出しましたが、その品質をより高める役割を果たしました。

最後の年

2004年から2012年まで続いたイギリスBBCの『華麗なるペテン師たち』にも出演し、多くのファンに愛されるキャラクターを演じました。ヴォーンは2016年に急性白血病で亡くなりますが、彼の功績や作品は今でも多くの人々に記憶されています。83歳という短い生涯でしたが、ロバート・ヴォーンの名は映画史に永遠に刻まれることでしょう。

もう一度検索