ロバート・J・クンツ

ロバート・J・クンツ（Robert J. Kuntz、1955年9月23日 - ）は、ロールプレイングゲーム業界において重要な役割を果たしたゲームデザイナー、作家です。彼は特に、初期の『ダンジョンズ&ドラゴンズ』（D&D）関連作品への貢献で知られています。

生い立ちと初期の活動

ロブ・クンツは1955年、ウィスコンシン州レイク・ジェニーバで生まれました。13歳の時にミニチュア・ウォーゲームに出会ったことが、彼のゲームへの情熱を点火しました。彼はすぐにボードゲーム、ミニチュアゲーム、そしてプレイバイメールゲームに没頭するようになります。

TSR社での活動

クンツはTSR, Inc.の6番目の従業員として入社し、デザイナー、エディター、出荷責任者、そして『ドラゴン』誌のコラムニストなど、多岐にわたる役割を担いました。彼はまた、Gen Conなどのゲーム大会の運営にも携わり、短期間ではありましたが、ジャッジズ・ギルドへのAD&D製品のライセンス供与を監督する業務も行いました。

D&Dへの貢献

プレイヤーとしてのクンツは、「ロビラー」という名のキャラクターを操り、D&Dの冒険を数多く経験しました。特に有名なのは、「トゥーム・オブ・ホラーズ」を最初に攻略したプレイヤーの一人であることです。彼の創造性豊かなプレイスタイルに注目したゲイリー・ガイギャックスは、彼を自身のグレイホーク・キャンペーンの共同ダンジョンマスターに任命しました。

ガイギャックスの友人であり共同DMとして、クンツはグレイホークの世界観の発展に大きく貢献しました。例えば、クンツが創造した暗黒神「ターズデューン」は、後にガイギャックスによって「タリズダン」としてD&Dの世界に組み込まれました。また、キャラクター「ズンク」と「ビラーロ」の名前は、彼の名前「クンツ」とPC名「ロビラー」のアナグラムです。彼は「フェイト・オブ・イスタス」にも2つのアドベンチャーを寄稿しています。

その他の作品

クンツはまた、「メイズ・オブ・ザイエネ」シリーズや、D&Dの初期のサプリメントである「ゴッズ、デミゴッズ&ヒーローズ」、「ディーアティーズ&デミゴッズ」の初版、「モルデンカイネンズ・ファンタスティック・アドベンチャー」など、数々の象徴的なD&D製品の執筆、または共同執筆に携わりました。

最近の活動

近年では、クンツは「マウレ・キャッスル」シリーズのアドベンチャーを執筆し、『ダンジョン』誌で発表しました。これには、ゲイリー・ガイギャックスとの共同執筆による「マウレ・キャッスル：「スターチュアリー」」（ダンジョン誌112号、2004年7月）や、「リターン・トゥ・マウレ・キャッスル：「チャンバーズ・オブ・アンティークイティーズ」」（ダンジョン誌124号、2005年7月）、「リターン・トゥ・マウレ・キャッスル：「ザ・グレーター・ホールズ」」（ダンジョン誌139号、2006年10月）が含まれます。

2006年には、彼は自身の会社であるパイド・パイパー・パブリッシングを設立し、以前に出版した限定版を基にした、最新のロールプレイング・アドベンチャー・モジュールを出版しました。これには、「ケルン・オブ・ザ・スケルトン・キング」（2006年、イラスト：ジム・ホロウェイ）、「タワー・オブ・ブラッド」（2007年）などがあります。さらに、オリジナルのレイク・ジェニーバ・キャッスル＆キャンペーンの要素を取り入れた「ザ・リビング・ルーム」（2008年）、「ザ・ボトル・シティ」（2008年）、「エル・ラジャ・キーズ・アーケーン・トゥレジャリ」（2009年、エリック・N・シュックと共著）、「デモニック&アーケーン」（2009年）、「ザ・ストーク」（2009年）なども出版しています。

受賞歴

クンツは、1986年にボードゲーム「キングス＆シングス」（ウェストエンドゲームズ）でチャールズ・S・ロバーツ賞を受賞し、2005年には「マウレ・キャッスル：「スターチュアリー」」（ダンジョン誌112号、パイゾ・パブリッシング）でゴールデン・エニー賞最優秀アドベンチャーを受賞しています。

ロバート・J・クンツは、その創造性とゲームデザインへの情熱によって、ロールプレイングゲームの歴史に大きな足跡を残しました。

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