ロベルト・コチャリャン

ロベルト・コチャリャンは、1954年8月31日にアゼルバイジャン・ソビエト社会主義共和国内のナゴルノ・カラバフ自治州の州都ステパナケルトで生まれました。彼は、ナゴルノ・カラバフ問題において強硬派として知られ、同地の独立を強く主張しました。

1992年、ナゴルノ・カラバフが「アルツァフ共和国」として独立を宣言すると、コチャリャンは同共和国の首相兼防衛委員に就任しました。その後、1994年には大統領に指名され、1996年の大統領選挙では圧倒的な支持を得て再選を果たしました。しかし、アルメニアの首相に就任するため、1997年に辞任しました。

その後、コチャリャンはアルメニアの政治に深く関わるようになり、1998年から2008年まで大統領を務めました。彼の政権下では、経済の安定と成長が見られ、多くの移民の発生を抑えることに成功しました。しかし、1999年に発生した議会銃撃事件への関与が疑われるなど、その政治手腕には常に影がつきまといました。

2003年の大統領選挙での再選は、選挙違反の申し立てによって傷つけられました。また、2004年初めには、辞任を要求するデモも頻発し、彼の信任を問う国民投票を求める動きもありました。

2008年の大統領選挙では、盟友のセルジ・サルキシャンが当選しましたが、この結果に反発した野党勢力が首都エレバンでデモを起こし、治安当局との衝突で多くの死傷者が出ました。このデモを主導したニコル・パシニャンが後に首相に就任すると、コチャリャンは2018年に憲法体制転覆の罪で逮捕されました。

2021年の議会総選挙では、アルメニア同盟を率いて参戦しましたが、与党には及ばず敗北しました。コチャリャンは選挙に不正があったと主張し、結果を受け入れていません。さらに2023年には、汚職防止裁判所によって、コチャリャンとその家族が所有する不動産や株式、預金などが没収されるという事態に発展しました。これは、彼が政治家として築き上げた財産が、不正な手段によって得られたものである可能性を示唆しています。

コチャリャンは、ソビエト連邦崩壊まではアルメニア共産党の職員でしたが、その後は特定の政党には所属していません。妻ベラとの間には3人の子供がいます。

このように、ロベルト・コチャリャンは、ナゴルノ・カラバフの独立運動からアルメニアの大統領まで、激動の時代を駆け抜けた政治家です。彼の功績と疑惑は、アルメニアの現代史において重要な位置を占めています。

もう一度検索