ロボットの時代

ロボットの時代

アイザック・アシモフのSF短編集『ロボットの時代』（原題：The Rest of the Robots）は、1964年に刊行されました。

概要

本作は、アシモフのロボットSF短編のうち、『われはロボット』に収録されなかった作品を集めたものです。そのため、内容は多岐にわたり、『われはロボット』がロボット自身の行動に焦点を当てていたのに対し、本作ではロボット工学三原則を利用して利益を得ようとする人間側の視点に立った作品が多く収録されています。

また、『みんな集まれ』には、アシモフ作品としては珍しい、三原則を持たない破壊工作員ロボットが登場します。

各話の間には、アシモフ自身による解説が挟み込まれており、小説『フランケンシュタイン』誕生の秘話や、ロボット工学三原則を考案した動機、各短編執筆の舞台裏、作中人物であるスーザン・キャルヴィン博士への愛情などが語られています。これらの解説は、短めのエッセイ集としても読むことができます。

特に、『お気に召すこと受けあい』は、ハンサムな執事ロボットと専業主婦の微妙な関係を描いた作品であり、従来のアシモフファンとは異なる若い女性読者層から大きな反響を呼びました。アシモフ自身は、この現象に対し困惑しながらもコメントを控えています。

なお、本作に収録された短編は、後にアシモフのロボット短編集『コンプリート・ロボット』に再録されています（ただし、アシモフ自身による解説は除く）。

収録作品

序
著者自身による解説。
第1部 ロボット登場
AL76号失踪す（Robot AL-76 Goes Astray）
月面で使用される予定だったロボットAL76号が地上で行方不明になり、様々な部品を使って驚くべき機械を組み立てる。
思わざる勝利（Victory Unintentional）
木星人と人類とのファーストコンタクトを描いた物語。頑丈なロボットたちが木星を訪れ、思いがけない形で平和をもたらす。
第2部 ロボット工学の諸原則
第一条（First Law）
土星の衛星タイタンで、ロボットMA型が人間を危険にさらし、狼を連れて姿を消す。
みんな集まれ（Let's Get Together）
敵国が開発したTC爆弾を内蔵したヒューマノイド・ロボットが、アメリカに潜入する。
第3部 スーザン・キャルヴィン
お気に召すことうけあい（Satisfaction Guaranteed）
ハンサムな人間型ロボット、トニイが家庭に入り、主婦クレアとの間に微妙な関係が生まれる。
危険（Risk）
超空間航行実験に挑むロボットと、その危険な任務に人間が立ち向かう。
レニイ（Lenny）
欠陥によって幼児のような精神状態になったロボット、レニイとスーザン・キャルヴィン博士の交流を描く。
校正（Galley Slave）
本の校正を得意とするロボットEZ27号が、教授の著書の間違いを指摘したことから、裁判沙汰に発展する。

書誌情報

『ロボットの時代』 小尾芙佐訳 ハヤカワ文庫SF SF572 1984年8月31日発行
* 米国のハードカバー版では、長編『鋼鉄都市』『はだかの太陽』も収録されている。

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