ロマノス2世

ロマノス2世は、939年に生まれ、963年3月15日に亡くなった東ローマ帝国マケドニア王朝の皇帝です。彼の父はコンスタンティノス7世、母はロマノス1世レカペノスの娘ヘレネです。959年に父の死後、皇帝に即位しました。

在位中、ロマノス2世は行政面で宦官のヨセフ・ブリンガスやテオドロス・デカポロティスを重用し、帝国政治の整備を進めました。また、軍事面では名将ニケフォロス・フォカスに軍を託し、イスラーム勢力からクレタ島を奪還するなど、帝国領を東方に大きく拡大することに成功しました。しかし、963年に狩猟中の事故により、わずか4年という短い在位期間で亡くなりました。復活祭の最中にもかかわらず、道なき山奥で落馬したことが死因と伝えられています。

ロマノス2世の死後、皇后テオファノと二人の皇子、バシレイオス（後のバシレイオス2世）とコンスタンティノス（後のコンスタンティノス8世）、そして皇女アンナ（後のキエフ大公妃）が残されました。彼の死後、宦官ブリンガスと将軍ニケフォロスは、幼い皇帝の摂政の座をめぐって争いましたが、最終的にニケフォロスが軍と首都市民の支持を得て勝利し、テオファノ皇后と結婚して皇帝となりました。

年代記によると、ロマノス2世は美男でしたが、政治や軍事には関心が薄く、宴会や狩猟に明け暮れる日々を送っていました。そのため、国政は臣下に任せきりでした。彼は曽祖父バシレイオス1世のような勇敢さも、祖父のレオーン6世や父コンスタンティノス7世のような学問への興味も持っていませんでした。また、頻繁に娼婦やふしだらな女性、役者や喜劇役者などと付き合っていたとされています。

一方で、ヨハネス・スキュリツェスの年代記では、ロマノス2世は父よりも背が高く、礼儀正しく物腰が柔らかく、聡明で頭の回転も速かったと記述されています。しかし、側近らが彼を無能な怠け者として仕立て上げたとも指摘しています。次男コンスタンティノス付きの寝室管理官には、ロマヌスの母方叔父で宦官のバシレイオス・レカペヌス（ソノス）が就任しており、ヨセフ・ブリンガスと不仲であったとされています。

ロマノス2世の短い治世は、領土拡大という功績を残した一方で、彼の死後には後継者争いという混乱を招きました。彼の人物像は、美男でありながら政治への関心が薄く、快楽を好む一方で、聡明で人当たりの良い人物であったという二面性を持っていたと言えるでしょう。

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