ロマノ・ヴルピッタ

ロマノ・ヴルピッタ（Romano Vulpitta、1939年 - ）は、イタリアの外交官、学者、作家であり、京都産業大学名誉教授。元欧州共同体駐日代表部次席代表を務めた人物です。

生い立ちと日本との出会い

1939年、王政下のイタリアの王都ローマに生まれました。幼少期には両親と共に、イタリア社会共和国時代の独裁者ベニート・ムッソリーニと面会した経験を持ちます。日独伊三国同盟下で育ったことから日本に対して興味を抱き、独学で日本語を学んだといいます。

学歴と外交官としてのキャリア

1961年、共和制移行後のローマ大学を法学専攻で卒業。その後、日本に留学し東京大学文学部の研究生となりました。1964年にはイタリア外務省に入省し外交官となります。駐日イタリア大使館書記を経て、欧州委員会に出向。1975年からは欧州共同体駐日代表部次席代表の要職を務めました。また、欧州最古の東洋学の研究機関であるナポリ東洋大学の非常勤講師を兼任し、現代日本文学を担当するなど、日本文化の専門家としても活躍しました。

京都産業大学での活動

沖縄返還交渉時に佐藤内閣に協力していた国際政治学者の若泉敬と知り合ったことがきっかけとなり、若泉が京都産業大学世界問題研究所の所長であった縁から、同大学の教員に招かれました。1978年、イタリア外務省を退職し、京都産業大学の教養部講師に就任。1982年からは教養部助教授として教鞭を執りました。1983年、学部再編によって教養部から経営学部に移り、「欧州企業論」を担当。1990年には経営学部教授に着任し、同学部の教育・研究で中心的な役割を果たしました。2004年からは世界問題研究所所長も務めています。2009年3月、京都産業大学を定年退官し、同大学から名誉教授の称号を授与されました。

作家としての活動

文芸評論家の保田與重郎との交流を通じて伝記を記した他、ベニート・ムッソリーニについての日本語による伝記を執筆するなど、作家としても活動しています。

著作

単著
『不敗の条件 保田與重郎と世界の思潮』（中央公論社〈中公叢書〉、1995年）
『ムッソリーニ 一イタリア人の物語』（中央公論新社〈中公叢書〉、2000年／ちくま学芸文庫、2017年）
共著
* 高森明勅編、遠藤浩一、富岡幸一郎、高市早苗、中村粲、斎藤吉久、ヴルピッタ・ロマノ、石平、高市早苗、山村明義著『靖國問題』（青林堂、2011年）

ロマノ・ヴルピッタは、外交官、学者、作家として、日本とイタリアの文化交流に大きく貢献した人物といえるでしょう。

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