高森明勅

高森明勅氏は、日本の評論家、神道学者、歴史家、そして皇室研究者として知られる人物です。1957年生まれ。岡山県倉敷市出身で、麗澤高等学校、國學院大学文学部を卒業後、同大学院で学びました。

学術的なバックグラウンドに加え、高森氏は独特の文筆スタイルで知られています。歴史的仮名遣いを用いた文章で、皇室や日本の歴史、文化に関する深い知識を一般向けに分かりやすく解説することに定評があります。所功氏と共に、テレビやラジオなどのメディアで皇室に関する解説を行うなど、コメンテーターとしても活躍しています。

その活動は多岐に渡ります。拓殖大学日本文化研究所客員教授を務める一方、小林よしのり氏が責任編集を務める季刊誌『わしズム』で連載を持ち、評論家としても精力的に執筆活動を行っています。「新しい歴史教科書をつくる会」副会長や「日本文化総合研究所」代表などを歴任し、國學院大学や麗澤大学などで講師を務めた経験もあります。また、防衛省統合幕僚学校においても講師を務めるなど、その活動範囲は学術界にとどまりません。

高森氏の主張や活動の中でも特に注目されているのは、皇位継承問題に関する見解です。氏は側室制度の廃止を踏まえ、皇統維持のためには女系天皇容認が不可欠だと主張しています。しかし、その一方で、女性天皇の即位に伴う生理や妊娠・出産といった問題点を指摘し、宮中祭祀を含む公務遂行の困難さを懸念。皇室典範に関する有識者会議では、直系を優先し、兄弟間では男子を優先すべきとの提言を行っています。

天皇の生前退位（譲位）についても、高森氏は独自の立場を示しています。週刊誌の記事を元に、天皇の退位や即位辞退が国民間に激しい対立を生む可能性や、国民による不敬な行動を招く危険性を指摘し、否定的な見解を示していました。しかし、2016年の天皇の生前退位に関する報道と「象徴としての務めについてのお言葉」発表後には、それまでの懸念を踏まえて、報道の無知や不遜さを批判するなど、見解を変化させています。

さらに、選択的夫婦別姓制度への反対派の矛盾点を指摘するなど、社会問題にも積極的に発言。江戸しぐさ批判でも知られ、そのインチキさを批判するなど、歴史や文化に関する様々な問題に独自の視点から切り込んでいます。

高森氏の著作は多岐に渡り、『天皇と民の大嘗祭』、『歴史から見た日本文明』、『この国の生いたち』など、数多くの単著を発表。共編著や監修なども手がけており、その知見は多くの書籍を通して広く一般に浸透しています。これらの著書は、日本の歴史、文化、皇室制度を多角的に理解する上で貴重な資料となっています。

高森明勅氏は、学術的な研究と社会的な活動、そして独自の視点を持つ評論家として、現代日本の重要な課題について多角的に考察し、発言を続けていると言えるでしょう。その活動は、日本の歴史、文化、そして未来を考える上で重要な示唆を与えてくれます。

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