ロンドン橋

ロンドン橋：2000年近い歴史を刻むテムズ川のシンボル

ロンドン橋は、イギリスの首都ロンドンを流れるテムズ川に架かる橋として世界的に知られています。童謡『ロンドン橋落ちた』にも歌われているこの橋は、実に2000年近い歴史を誇り、長きにわたりロンドンの発展を支えてきました。ウェストミンスター[[橋]]が完成する1750年までは、テムズ川に架かるロンドン市内唯一の橋としての役割を担っていました。

現在私たちが目にするロンドン橋は、1973年に完成したコンクリート製の橋です。派手さはないものの、その歴史的重みは計り知れません。一方、下流にあるタワーブリッジは、その美しい姿から観光客に人気があり、ロンドン橋と間違われることも少なくありません。この誤解は、アメリカの実業家がロンドン橋を購入した際、タワーブリッジと勘違いしたという都市伝説にもつながっています。

ロンドン橋の歴史：ローマ時代から現代まで

ロンドン橋の歴史は古く、西暦46年、ローマ人がテムズ川に木製橋を架けたことに始まります。当時はロンディニウムと呼ばれる小さな町でしたが、ローマ軍の管理下で橋は重要な役割を果たしました。しかし、ローマ帝国の衰退とともにロンディニウムを離れたローマ軍、そしてアングロ・サクソン人の侵入と小王国の乱立により、橋は幾度となく破壊と再建を繰り返しました。

中世には、1013年のデンマーク侵攻時に破壊され、その後も嵐や火災による損壊を経験しました。12世紀、ピーター・ド・コールチャーチによる石造の橋の建設が始まり、1209年に完成します。この橋には住宅や商店、礼拝堂が立ち並び、橋脚間の水位差によって激しい急流が生じるなど、独特の構造と生活空間が形成されていました。ワット・タイラーの乱やジャック・ケイドの反乱といった歴史的事件では、橋が戦場と化し、損壊を被りました。

また、橋の南端には悪名高い守衛所があり、反逆者の生首が晒される光景は、ロンドン市民にとって衝撃的なものでした。この慣習は17世紀に廃止されました。13世紀には大火災が発生し、多数の犠牲者が出ました。その後も火災や交通量の増加、老朽化といった問題に直面し、18世紀には新たな橋の建設が検討されました。

19世紀初頭、ジョン・レニー設計による新たな石造橋が完成し、旧橋は取り壊されました。この橋は美しい大理石造りで、ロンドンの象徴として愛されました。しかし、時間の経過とともに基礎の沈下という問題が発生し、橋はアメリカの実業家ロバート・P・マカロックに売却され、アリゾナ州レイクハバスシティに移設されました。

現在のロンドン橋は、1973年に完成したコンクリート製の橋です。以前の橋とほぼ同じ場所に建設され、シンプルながらも機能的なデザインが特徴です。ロンドンの中心部とサザークを結び、多くの交通量を捌いています。この橋は、歴史の重みと現代の機能性を兼ね備え、ロンドンの街並みの中で重要な役割を担っています。

ロンドン橋とタワーブリッジ：都市伝説

ロンドン橋とタワーブリッジはしばしば混同されます。観光客の間では、特にタワーブリッジの方が知名度が高く、ロンドン橋だと誤解されているケースが少なくありません。マカロックによるロンドン橋の購入についても、タワーブリッジと勘違いしたという都市伝説がありますが、実際にはそのようなことはなく、あくまで噂に過ぎないことが分かっています。

まとめ

ロンドン橋は、ローマ時代から現代まで、幾多の変遷を遂げてきた歴史的建造物です。その歴史は、ロンドンの発展そのものを反映しており、橋の構造や機能だけでなく、政治的・社会的な出来事とも深く関わっています。現在の橋はシンプルながらも、その歴史とロンドンの街に貢献し続ける存在であり続けています。

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