ロン・シモンズ

ロン・シモンズ：アメリカンフットボールからプロレス界のレジェンドへ

ロン・シモンズは、1958年5月15日生まれのアメリカ合衆国ジョージア州出身のプロレスラーです。アフリカ系アメリカ人として、プロレス界の歴史に大きな足跡を残しました。NFLクリーブランド・ブラウンズでのアメリカンフットボール選手経験を経て、1986年にプロレスラーとしてデビュー。ヒロ・マツダの下で鍛錬を積んだ後、NWAフロリダで頭角を現し、フロリダ・ヘビー級王座を獲得しました。

1989年にはNWA-WCWへ参戦。ブッチ・リードとのタッグチーム「ドゥーム」を結成し、スタイナー・ブラザーズを破って世界タッグ王座を獲得するなど、大きな成功を収めました。1991年には新日本プロレスにも参戦し、国際的な活躍を見せています。その後、シングルプレイヤーとして活躍し、1992年にはビッグバン・ベイダーを破り、WCW世界ヘビー級王座を獲得。WCW（NWA）史上初の黒人世界王者となりました。これは、ボボ・ブラジル以来の快挙であり、アメリカン・プロレスの歴史においても重要な出来事でした。ベビーフェイスとして活躍した後、WCWを解雇され、ECWを経て、1996年にWWF（現WWE）へ参戦します。

WWFではヒールとして登場、ネーション・オブ・イスラムをモチーフとした黒人至上主義軍団「ネーション・オブ・ドミネーション（NOD）」を率いて多くの抗争を繰り広げます。NODのリーダーとして、アーメッド・ジョンソンやリージョン・オブ・ドゥームといったレスラーたちと激しい戦いを繰り広げ、後にメンバーに加わったザ・ロックを売り出すWWFの方針により、1998年にNODから追放され、リーダーの座をザ・ロックに譲ることになります。

NOD追放後はベビーフェイスに転向し、ブラッドショーとのタッグチーム「アコライツ」を結成。これがシモンズにとって再浮上のきっかけとなり、以降2004年までブラッドショーとタッグを組みました。アコライツとして、ジ・アンダーテイカーのミニストリー・オブ・ダークネスにも参加するなど、様々な活躍を見せています。アコライツは後に「アコライツ・プロテクション・エージェンシー（APA）」と改名し、酒場でポーカーをしながら用心棒を引き受けるという荒くれ者のギミックを演じ、多くのファンを魅了しました。ブラッドショーとのタッグでは、WWFタッグ王座を3回獲得するなど、高い人気を誇りました。

2004年には体調不良によりセミリタイア状態となり、ツアー宣伝部門のスタッフとして勤務していましたが、2006年には電撃的に復帰。ジョン・シナのマイクパフォーマンス中に現れ、「Damn!」と叫んで去っていくというコミカルなキャラクターで人気を博しました。その後も、PPVサバイバー・シリーズにレジェンドチームの一員として出場するなど、リングに上がり続けました。しかし、2009年にはWWEを解雇されています。

2010年にはRAWのスペシャル版に出演し、2012年にはWWE殿堂入りを果たし、その功績は称えられました。殿堂入り式典では、長年のパートナーであるブラッドショーことジョン・レイフィールドがインダクターを務めました。同年にはRAW1000回記念放送にも出演し、往年のレジェンドたちと共に、忘れられない瞬間を残しました。

シモンズは、ドミネーター、ハイアングル・スパイン・バスター、パワーボムなど、数々の強力な得意技を駆使し、観客を沸かせました。CWFフロリダ・ヘビー級王座、WCW世界ヘビー級王座、WWF世界タッグ王座など、数々のタイトルを獲得。その輝かしいキャリアは、プロレス界の歴史に永遠に刻まれることでしょう。彼の「Damn!」という決め台詞は、多くのファンの記憶に強く残っているはずです。

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