ローデシア問題

ローデシア問題

ローデシア問題とは、かつてのイギリス領南ローデシア（現ジンバブエ）が、国際的な植民地独立の流れに逆らい、白人による少数派支配を維持するために、イギリスに対して一方的な独立宣言（Unilateral Declaration of Independence; UDI）を行ったことに起因する国際的な紛争です。

南ローデシアは1965年11月11日に一方的な独立を宣言しましたが、アフリカ人住民の抵抗と国際社会からの強い圧力にさらされ、1979年12月12日にイギリスの植民地としての地位に復帰しました。その後、1980年4月18日にジンバブエとして改めてイギリスから独立を果たしました。

歴史的経緯

国内情勢

ローデシアがアフリカの年（1960年）に独立を達成できなかった背景には、白人支配層の強固な体制がありました。アフリカにおける非植民地化の潮流から取り残された白人入植者の間には、危機感と孤立感が広がり、ローデシアの歴史的背景から生まれた強い共同体意識が形成されました。また、白人入植者たちは、ローデシアを迅速に経済発展させたという自負を持つ一方で、アフリカ人に対する人種差別意識を強く抱き、アフリカ人ナショナリズム運動に対して強い警戒感を持っていました。

1964年4月に首相に就任したイアン・スミスは、与党ローデシア戦線（the Rhodesian Front）による国内支配体制を維持するため、アフリカ人民主主義運動への弾圧を強化し、白人の反政府勢力をも抑圧しました。ローデシア戦線は、ローデシアにおけるヨーロッパ人の恒久的な支配権を維持することを公約に掲げ、事実上の人種差別政策を推進しました。ローデシア戦線の支持者たちは、ローデシア戦線に異議を唱える者たちを「売国奴」「臆病者」「共産主義者」などと非難しました。

対英交渉

ローデシア戦線は、1962年の総選挙以来、ローデシアの独立問題を最重要課題として取り組んでいました。これに対しイギリスは、アフリカ人ナショナリストや国際連合、英連邦アフリカ諸国などからの多数派支配を求める要求を受け、ローデシアの独立を直ちに承認することができませんでした。

1963年3月、当時のローデシア首相ウィンストン・フィールドは、イギリス政府に対し以下の要求を提示しました。

ローデシア・ニヤサランド連邦の解体と同時にローデシアの独立をイギリス政府が支援すること。
ローデシアの独立を承認しない場合、ローデシア政府は連邦解体のための会議に出席しないこと。
* 会議の開催前にローデシアの独立問題に関する会談を行うこと。

イギリス政府は、ローデシア・ニヤサランド連邦の解体問題を円滑に進めようとしましたが、ローデシアの政治体制を多数派支配に近づけようとするイギリスの提案や、ローデシア問題の解決のために英連邦諸国の意見を聞くという提案をローデシア戦線側が拒否したため、交渉は決裂しました。ローデシア戦線は、「独立問題はイギリス政府とローデシアの間でのみ議論されるべき」と主張しました。

一方的独立宣言へ

イギリスとの交渉が決裂すると、ローデシア戦線とその支持者の間で、「交渉による独立達成」という穏健な路線に対する不満が高まり、「一方的独立宣言」(Unilateral Declaration of Independence; UDI)を求める声が強まりました。ローデシア戦線は、反政府勢力に対する弾圧を強化し、支持者を動員して議会での絶対的な地位を確立しました。一方的独立宣言後の国際的な孤立に備えるため、南アフリカやポルトガルに接近し、モザンビークのベイラ港とローデシアを結ぶ原油パイプラインを建設し、相互に貿易上の特権を認めました。こうして、南アフリカ、ポルトガル、ローデシアの間で「白い三角同盟」（Tripartite White Alliance）と呼ばれる協力体制が築かれました。

1964年9月に行われた対英独立交渉において、イギリス政府は「イアン・スミス政権が一方的独立宣言に踏み切った場合、経済制裁で対抗する」と警告しましたが、ローデシア戦線の姿勢に対する圧倒的な支持は変わらず、両者の主張は平行線をたどりました。その後の共同声明では、「激しい議論にもかかわらず、対立する意見を調停する方法を見つけることができず、今後の会談の予定もない」と発表されました。そして1965年11月11日、スミス政権はローデシアの一方的な独立を宣言しました。しかし、この独立を公式に承認する国は現れず、ローデシアは国際的に孤立することとなりました。

国際連合における解決

ローデシア問題は、国際連合において主要な議題となり、経済制裁や和平交渉など、様々な解決策が模索されることになりました。

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