ローデシア空軍

ローデシア 空軍：紛争下の空を制した小規模精鋭部隊

ローデシア空軍は、かつてローデシア（現在のジンバブエ）に存在した空軍です。ローデシア紛争において、数々の困難を抱えながらも、その空軍力は特筆に値するものでした。

概要

ローデシア紛争当時、アフリカ人抵抗組織は航空機を保有していませんでした。対照的に、ローデシア空軍はイギリス製のホーカーハンター、デ・ハビランドバンパイア、イングリッシュ・エレクトリックキャンベラといったジェット戦闘機や爆撃機を装備しており、紛争中の制空権は常にローデシア軍が確保していました。

ローデシア空軍は陸軍と密接に連携し、「ファイヤー・フォース攻撃」と呼ばれる空中機動作戦を展開、大きな戦果を上げています。この作戦には、アルエットIIIヘリコプターやDC-3輸送機が使用され、リンクス（セスナO-2）はCOIN機として対地攻撃に投入されました。

ローデシア空軍は、南ローデシア時代には王立ローデシア空軍でしたが、一方的な独立宣言後、1970年にローデシア空軍へと改称されました。編成は8つの飛行隊で構成され、指揮系統や階級制度はイギリス空軍を基盤としていました。

編成

ローデシア空軍は、以下の8つの飛行隊を擁していました。

第1飛行隊: 対地攻撃と空中防衛を担い、ホーカーハンターやデ・ハビランドバンパイアを装備。
第2飛行隊: 飛行訓練、近接航空支援、軽装備航空機に対する防空を担当し、デ・ハビランドバンパイア T55を運用。
第3飛行隊: 航空支援、落下傘部隊の輸送、兵站、航空機からの放送、捜索救難、VIP輸送など、多岐にわたる航空輸送任務を遂行。ダコタ DC-3などを運用。
第4飛行隊: 国内治安作戦における陸軍支援を主な任務とし、Aermacchi AL-60F-5やセスナ337などを装備。
第5飛行隊: 爆撃と写真偵察を担い、イングリッシュ・エレクトリックキャンベラを運用。
第6飛行隊: 当初は爆撃と写真偵察、後に基礎訓練と対反乱作戦の陸軍支援、軽襲撃、武器訓練へと任務が変遷。Percival Provost Mk52を装備。
第7飛行隊: 部隊輸送、災害救助、ファイアフォース作戦を含む戦場支援を担当。アルエットIIIヘリコプターなどを運用。
第8飛行隊: 部隊輸送と戦場支援を担い、ベル 205Aヘリコプターを運用。

この他に、ブリティッシュ・サウス・アフリカ警察の航空部隊であるポリス・リザーブ・エア・ウイング（PRAW）や、内務省軍の航空部隊であるインターナル・アフェアーズ・エア・ウイング（Intaf Air Wing）が存在し、それぞれ偵察、捜索、負傷者後送、補給などの任務に従事していました。

基地

主要な航空基地はニュー・セーラムとソーンヒルの2か所。前進飛行場（FAF）は、ワンキー、カリバ、センテナリーなど9か所が存在しました。

人員

ローデシア空軍は小規模であり、1965年にはわずか1,200人の人員で構成されていました。紛争が激化すると約2,300名まで増加しましたが、実際に戦闘に参加するパイロットは約150名に過ぎませんでした。しかし、この少数精鋭のパイロットたちは、ローデシア空軍の全航空機を操縦することができ、高い柔軟性と汎用性をもたらしていました。

装備

経済制裁下にあったローデシアは、航空機の新規調達が困難であり、旧式の機体も多く使用されていました。主な装備は以下の通りです。

ヘリコプター：アルエットIII、UH-1
COIN機：リンクス（セスナO-2）、SF-260
戦闘機：ホーカーハンター、デ・ハビランドバンパイア
爆撃機：イングリッシュ・エレクトリックキャンベラ MK8
* 輸送機：DC-3

ローデシア 空軍の終焉

ローデシア空軍は、その高い練度と戦力により、アフリカ人解放組織から恐れられていました。1979年のランカスターハウス会議における停戦協定では、ローデシア空軍が停戦監視軍によって監視されることが条件となるほどでした。

ローデシア紛争終結後、ローデシア空軍はジンバブエ空軍へと改編され、欧米やロシア、中国から新型航空機が導入され、機材の更新が進められました。

ローデシア空軍は、その規模は小さいながらも、紛争下において卓越した能力を発揮し、ローデシアの空を守り抜いたのです。

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