ロード (コンピュータ)

ロード（Load）とは

コンピュータにおける「ロード」とは、ストレージ（不揮発性メモリや補助記憶装置）に保存されたデータを、メインメモリに読み込んで復元する処理を指します。このプロセスは、プログラムの実行、作業内容の復元、個人設定の適用など、様々な目的で使用されます。

ストレージに保存されたデータは不活性な状態ですが、ロードによってメインメモリ上に展開されることで、CPUやプログラムからアクセス可能な活性状態となります。この動作は、火器の弾薬を薬室にセットし、射撃可能状態にする「装填（loading）」に例えられます。

メモリとロード

コンピュータのメインメモリには、DRAM（Dynamic Random Access Memory）が一般的に使用されます。DRAMはSRAM（Static Random Access Memory）に比べて低速ですが、大容量であり、ストレージよりも高速に読み書きできるという特徴があります。このため、コンピュータの作業用データ保持領域として最適です。

アプリケーションソフトウェアは、ファイルI/OなどのAPI（Application Programming Interface）を通じて、ストレージ上のデータをメインメモリにロードし、必要に応じて作業結果をストレージに書き戻すことで、高速な処理を実現しています。

セーブとロード

コンピュータプログラムにおいて、セーブとロードの機能は、作業の中断・再開を可能にし、異なる機器間でのデータ共有を容易にします。データをストレージに保存することで、電源断などの不測の事態にも対応できます。ただし、書き込み処理中に電源が切れると、データが破損する可能性があるため、重要なデータは別のファイルにバックアップしてからスワップするなどの対策が必要です。

「ロード」という言葉は、多くのBASIC環境で `LOAD` という命令が用いられていたことから、広く普及しました。

メモリとレジスタ

CPUのレジスタとメインメモリ間のデータのやり取りにおいては、メモリからレジスタへの読み出しに「ロード命令」、レジスタからメモリへの書き込みに「ストア命令」が用いられます。

現代的なCPUには、キャッシュメモリが搭載されており、メインメモリから読み出されたデータはキャッシュメモリにも自動的にロードされ、頻繁にアクセスされるデータの高速化を図っています。このキャッシュメモリの存在は、アプリケーションソフトウェアからは隠蔽されており、データの整合性は自動的に保たれます。

コンピュータゲームにおけるロード

コンピュータゲームにおいては、プレイの中断時に現在の状態を保存する「セーブ」と、そのデータを読み込んで再開する「ロード」が重要な要素です。

セーブデータだけでなく、ゲームプログラムや画像・音声データなどのマルチメディアデータも、メモリに読み込む際に「ロード」と表現されることがあります。

メディアとロード時間の変化

かつてテープメディアが主流だった時代には、シーケンシャルアクセスや機械的動作速度の制約から、ロードに非常に時間がかかりました。その後、ROMカートリッジやSRAMを使用したゲーム機では、電気回路による高速なデータ転送が可能になり、ロード時間は大幅に短縮されました。

PCではフロッピーディスクやハードディスクが普及しましたが、機械的な動作を伴うため、大容量データの読み書きには時間がかかりました。CDやDVDなどの光学メディアの登場は、表現能力の向上をもたらしましたが、再びロード時間が長くなるという課題を生み出しました。

ロード画面と高速化の取り組み

ロード中の待ち時間を軽減するため、画面に「Now Loading...」といったメッセージやアニメーション、進捗状況を示すプログレスバーなどが表示されるようになりました。

近年では、HDDやSSDにゲームデータをインストールすることで、光学メディアよりも高速なロードを実現する試みも行われています。しかし、ゲーム内容の複雑化に伴い、ロード時間短縮の課題は依然として残っています。

コンティニューとリトライ

ゲームオーバーになった場合に、ペナルティを受け入れてゲームを再開する「コンティニュー」や「リトライ」は、ロードとは異なります。これらは、ゲームの難易度やバランスを調整するための要素として、多くのゲームに組み込まれています。