ローバー・SD1

ローバー・SD1について

ローバー・SD1は、イギリスの自動車メーカーであるローバーが1976年から1987年にかけて生産した中・大型乗用車です。この車は、当初はブリティッシュ・レイランド（BLMC）によって開発され、1986年以降はローバー・グループの一部として販売されました。代表的なモデルには「ローバー 2000」「ローバー 2600 SE」「ローバー V8-S」などがあります。

開発経緯

1971年、BLMCは当時の厳しい経営環境を改善するため、ローバー・P6とトライアンフ・2000/2500|トライアンフ・2000_2500シリーズの統合を目指しました。この目的のために、両部門からの提案が求められ、RoverのSpen KingとDavid Betcherのコンビが新たな車両の開発に着手しました。彼らは前年にレンジローバーを成功させたばかりであり、革新的なデザインを取り入れる余地がありました。

新型車の開発には特別なコードネームが付けられ、P7ではなくSD1（Specialist Division No. 1）として知られることになりました。この名称は、両部門の統合によって中高級車やスポーティーカーの開発が行われることを象徴しました。

デザインと技術

SD1は、保守的な設計が施されましたが、時代の流れに応じた先進的な機能も取り入れられました。一般的なモノコック構造のボディや後輪固定軸のサスペンション、ディスク／ドラムのブレーキが採用され、セルフレベリング式リアダンパーやローバー初のラック＆ピニオン式ステアリングも装備されました。また、デザイン面では、1960年代のピニンファリーナのデザインから影響を受けており、特にフェラーリ・デイトナに似た前面スタイルが印象的でした。これにより、SD1は1977年のヨーロッパ・カー・オブ・ザ・イヤーを受賞する栄誉を得ました。

生産と進化

SD1の初のモデルは1976年6月にV8の3500として発売され、翌年には直列6気筒の2300と2600も登場しました。この結果、ローバー・P6とトライアンフ・2000/2500|トライアンフ・2000_2500の生産が終了し、ローバーはSD1、トライアンフはTR7のみに一本化されました。試作されたステーションワゴンも生産には至りませんでした。

1981年には生産拠点が旧モーリスのカウリー工場に移り、1982年には大規模なマイナーチェンジが行われました。この新型モデルには、クロームで縁取られたヘッドライトや広げられたリアウィンドウが特色として追加されました。また、当時のディーゼルターボエンジンや高出力のV8モデルも登場し、さまざまなバリエーションが展開されました。

市場での評価

日本市場には1979年から1981年にかけて正規輸入されましたが、元々の品質問題に加えて排気ガス対策がうまくいかず、販売は振るいませんでした。また、アメリカ市場でも苦戦を強い、カーグラフィック誌の長期テストではその実情が厳しく報告されています。

1987年にはホンダ・レジェンドを基にしたローバー・800が登場し、SD1の生産は303,345台で終了しました。このモデルは100%英国製の技術で作られた最後のローバー車として、その歴史に幕を閉じました。

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