ローランド (ミサイル)

ローランド対空ミサイルシステム

ローランド（Roland）は、1960年代から西ドイツとフランスによって共同開発された短距離防空ミサイルシステムです。本システムは、野戦機動性を持ちながらも高い精度を誇り、フランスのアエロスパシアル社とドイツのメッサーシュミット・ベルコウ・ブローム社の合弁企業ユーロミサイル社によって製造されています。最初のシステムは1977年にフランス陸軍で運用を開始し、その後650基以上の発射機が世界中に導入されました。

システム概要

ローランドは、砲塔型発射機を中心にしたコンパクトな設計が特徴です。発射機は車両に搭載され、容易に移動可能です。システム全体は、ミサイルを発射するためのキャニスターや誘導システムを備えています。発射時には、キャニスターが自動的に排出され、新たなミサイルをさまざまな方法で補充できます。この機能により、連続した発射が可能となります。

ミサイルは、6.5キログラムの高性能爆薬を搭載し、固体燃料の二段式ロケットを使用します。これにより、M1.6まで加速し、最大射程は3,000メートルの高度での目標を5,000メートル以上から攻撃することができます。目標の誘導方式は、指令照準線一致(CLOS)システムによって行われます。

各型とその特徴

ローランドにはいくつかのバージョンが存在します：

• - ローランドI：手動による光学追跡と誘導システムを備え、昼間の迎撃任務に特化しています。
• - ローランドII：全自動レーダー追跡・誘導システムを搭載し、全天候型の迎撃能力があります。
• - ローランドIII：増強された弾頭と射程を持ち、より強力な攻撃が可能です。
• - ローランドVT1：超高速ミサイルで、他のシステムと共通のミサイルを使用します。

運用状況

ローランドはフランス、アルゼンチン、ブラジル、ナイジェリア、カタール、スロベニア、スペイン、ベネズエラなど多くの国で運用されています。一方で、共同開発国のドイツでは運用が終了しています。また、アメリカ陸軍による改良も行われ、XMIM-115Aとして導入されましたが、配備は限られました。

その他の情報

ローランド対空ミサイルシステムは、さまざまな車両に搭載可能なため、装軌車や装輪車のプラットフォーム上で運用されています。さらに、1995年に開発された空輸可能なシェルター「CAROL」によって、重要な拠点を防御するための固定配備兵器としても活用されます。

このように、ローランド対空ミサイルシステムは、高い機動性と柔軟な運用が可能であり、現在も多くの国で重要な防空能力を提供しています。

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