ローラーポリス太陽刑事

『ローラーポリス太陽刑事』（ローラーポリスたいようデカ）は、古沢一誠原作、ほしの竜一作画による日本の漫画作品です。『月刊コロコロコミック』（小学館）にて、1983年 1月号から1984年 3月号にかけて連載されました。単行本化はされていませんが、『熱血!!コロコロ伝説』Vol.4に第2話が掲載されています。

概要

本作は、ほしの竜一のデビュー作であり、以前からカットやイラストを描いていたほしのへ依頼される形で連載が開始されました。小学生の少年が刑事として活躍するという、子供たちの憧れを体現した物語で、少年の勇気と正義感を描くことをテーマとしています。当時の『コロコロ』の編集方針であった勢いを重視し、絵、構図、エピソードすべてにおいて読者へインパクトを与えることを追求した作品です。

子供が刑事になるという爽快感と、ハイテク装備によるヒーロー的な活躍が特徴ですが、物語は楽しさだけでなく、秘密の存在であった少年刑事が世間から非難されるという現実的な側面も描いています。警察が小学生に危険な捜査活動を行わせることへの批判は、物語に深みを与えました。

ほしの竜一は本作以前にもギャグ漫画を描いていますが、本名名義であり、ほしの竜一名義でのデビュー作は本作とされています。

扉ページで明確な話数とサブタイトルが記述されたのは最初の2話のみで、以降は1983年 n 月号を第 n 話とみなして語られることが多いです。

あらすじ

4年連続ローラースケートチャンピオンの小学生、大空太陽（おおぞらたいよう）は、その卓越した腕を買われ、警視庁特捜研で開発されたエンジン付きローラースケート、ジェットローラーの乗り手にスカウトされます。少年刑事となった太陽は、様々なハイテク装備を駆使して凶悪犯に立ち向かいます。

登場キャラクター

大空太陽（おおぞらたいよう）
ローラースケートの腕前を総監に認められ、小学生ながらジェットローラーの乗り手に抜擢された少年。警視正の階級を与えられ、特捜研のある警視庁に出入りします。当初は研究開発の協力が目的でしたが、ジェットローラーでなければ解決困難な事件が発生したことから、刑事として活躍することになります。刑事であることは秘密にするよう念を押されていますが、本人は隠す様子もなく、クラスではヒーロー気取り。しかし、周囲からは信じてもらえず、終盤まで大きな問題にはなりませんでした。警視庁地下5階の秘密サーキット場で訓練を重ね、縄錠・ジャイロジェット銃・ポリスリーダーといった装備を使いこなします。家族は両親と妹のひまわりがいます。第12話からは竜太という暴走族風の男が部下となります。

石原総監
通称「ボス」。サングラスをかけたスキンヘッドの男。警視庁特捜研の総監で、事件捜査の指揮を執ります。太陽刑事の存在が世間に明るみに出た際には、失職を覚悟で太陽の出動を認めた理解者です。犬嫌い。

水野博士
通称「チーフ」。眼鏡をかけた長髪の女性。ジェットローラーの管理や整備を行う技術者で、太陽にハイテク装備を提供します。捜査では主に後方支援を行いますが、太陽のサポートで最前線に出ることもあります。普段は温厚ですが、ヒステリックな一面も。

中沢めぐみ（なかざわめぐみ）
太陽のクラスメートの少女。太陽が警視庁に出入りできることをアピールしますが、当初は信じてもらえません。交通事故に遭い、太陽の活躍で輸血が間に合ったことから、太陽刑事の秘密を知る仲間となります。

ブン太（ぶんた）
タラコ唇でケンカ好きな少年。パチンコ屋の息子。太陽を嘘つき呼ばわりしてリンチを仕掛けますが、太陽刑事の活躍を目の当たりにし、秘密を知る仲間となります。暴走族に襲われて貯金を奪われた際には、太陽を信頼し、めぐみと共におとり捜査に協力します。

用語

特捜研（とくそうけん）
太陽が所属する部署。ボスを中心に事件の捜査が行われ、チーフによってハイテク装備の研究開発が行われます。通常の装備では解決困難な事件に対して出動を要請されます。最終回で廃止されました。実在の特捜研とは異なります。

装備・メカニック

アダム7（セブン）
特捜研が使用するワゴン型の警察車両。犯人追跡のコンピュータや警察無線を備え、太陽への指令もここから行われます。

ジェットローラー
エンジン付きローラースケート。時速100kmを超えるスピードが出せます。当初はコントロールグリップで操縦していましたが、縄錠を使い始めてからはグリップが描かれなくなり、普通のローラーのように乗りこなすようになります。第11話で致命的なダメージを負い、修理不可能となり、ポリスリーダーに主役の座を譲りますが、最終回直前に復活します。

スリングショット
子どもに銃を持たせるのは危険だという判断から、太陽に与えられた武器。実戦で使用されたのは第2話のみ。

縄錠（なわじょう）
武器を持った犯人に対抗するために与えられた、投げ縄と手錠を合わせたような道具。中国武術のチャン老師が考案しました。

ジャイロジェット銃
銃を扱う犯人に対抗するために与えられた、小口径のロケット銃。射出時の反動がほとんどありません。ショック弾、催涙弾、麻酔弾などを発射できます。

ポリスリーダー
ジェットローラーに代わり、実戦投入された太陽専用白バイ。ポケバイのようなミニバイクで、防弾フルフェアリングと高性能ジェットターボエンジンを備えています。連載終盤ではポリスリーダーによるバイクアクションが見せ場となりました。

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