ロールス・ロイス タイン

RB.109 タインエンジンの概要

RB.109 タインは、1950年代中頃から後期にかけてイギリスのロールス・ロイス社によって開発された高性能な2軸式ターボプロップエンジンです。このエンジンは、1955年4月に初めて運転され、その翌年1956年にアブロ リンカーンを使用した改造機でのテスト飛行が行われました。「タイン」という名前は、ロールス・ロイスの伝統に従い、イングランドのタイン川にちなんで名付けられました。

設計と開発の背景

タインエンジンは、ビッカース ヴァンガード向けに設計され、1959年1月20日には初の試作機が4発で飛行しました。当初のタイン Mk.506は、4,985 shp（馬力相当）の出力を誇っていました。1959年中ごろからは、量産が開始され、英国欧州航空やトランス・カナダ航空向けに合計43機のヴァンガードに搭載されました。その後、タインは出力を向上させ、ブレゲー アトランティックやカナディア CL-44、C-160 トランザールなどのさまざまな機体にも利用されるようになりました。

タインのシステムは、単段の高圧タービンが9段の高圧圧縮機を駆動し、3段の低圧タービンが6段の低圧圧縮機を駆動する構造になっています。そしてこれらは、減速機を介してプロペラを回す役割を担っています。燃焼室はカニュラ型が採用されています。タイン Mk.515は、国際標準大気下で16.8度の場合に5,730 shpの出力を持っています。

派生型とその性能

タインエンジンにはいくつかの派生型が存在します。主なものには以下があります：

• - RTy.1 Mk 506: 出力3,259 kWでビッカース ヴァンガード Type 951 とビッカース マーチャントマンに搭載。238基生産。
• - RTy.11 Mk 512: 出力3,776 kWでビッカース ヴァンガード Type 952に搭載。
• - RTy.12 Mk 515: 出力3,442 kWでカナディア 400とカナディア CL-44に搭載し、227基生産。
• - RTy.12 Mk 515-101W: 出力4,026 kWのショート ベルファストに搭載。
• - RTy.20 Mk 21: 出力4,226 kWでブレゲー アトランティックとアトランティック ATL2に搭載。
• - RTy.20 Mk 22: 4,226 kWでC-160 トランザールに搭載。
• - RTy.20 Mk 801: 出力3,624 kWのアエリタリア G.222に搭載。
• - RTy.20 Mk 45: 4,500 kWのC-160 トランザールとアトランティック ATL2に搭載。

主な搭載機および運用

タインエンジンは、多くの航空機や艦船に搭載されてきました。航空機では、アエリタリア G.222、ビッカース ヴァンガード、カナディア CL-44、ショート ベルファスト、C-160 トランザール、ブレゲ アトランティックなどに搭載されています。また、海洋型はタインRM1A、RM1C、RM3Cとして運用されています。

艦船に搭載されている例としては、イギリス海軍の21型、22型、42型の艦船のほか、日本の海上自衛隊のはつゆき型護衛艦、オランダ海軍の各級フリゲート、ギリシャ海軍のエリ級、アルゼンチン海軍のアルミランテ・ブラウン級駆逐艦があります。

タインの保存と展示

タインエンジンは、現在もイギリス空軍博物館のコスフォード館に展示されており、その技術的背景や美しい設計が多くの人々に親しまれています。

諸元（Tyne RTy.21）

最終的に、タインは次の特性を持っています：

• - 形式: 2軸ターボプロップ
• - 全長: 108.66 in (2760 mm)
• - 直径: 55.12 in (1400 mm)
• - 乾燥重量: 2,489 lb (1,129 kg)
• - 圧縮機: 低圧6段、高圧9段の軸流式圧縮機
• - 燃焼器: 10缶カニュラー式燃焼機
• - タービン: 低圧3段、高圧1段
• - 使用燃料: ジェット燃料
• - 出力: 6,100 ehp
• - 全圧縮比: 13.86:1
• - 空気流量: 46.6 lb/sec (21.1 kg/sec)
• - 燃料消費率: 0.4715 lb/hp/hr (0.29 kg/kW/hr)

タインエンジンは、当時の航空技術の象徴であり、様々な機体に搭載されることでその実力を証明しました。

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