ロールス・ロイス・チュルボメカ アドーア

アドーアエンジン (RT.172 Adour)

アドーアは、ロールス・ロイス・ホールディングスとチュルボメカの合弁会社によって設計された2軸式のターボファンエンジンです。その名称は、フランス南西部を流れるアドゥール川から名付けられています。このエンジンは、主にジャギュア攻撃機向けに開発され、1968年に初めての運転に成功しました。

歴史

アドーアエンジンは、初期の段階ではアフターバーナーを搭載していませんでしたが、開発が進むにつれてサージングの問題に対策が講じられ、改良が加えられました。2009年7月までに約2800基が生産され、累計で800万時間以上の飛行時間を記録しました。アメリカでは、このエンジンはF405-RR-401としてT-45 ゴスホーク練習機などで使用されており、さらに改良型のF405-RR-402も開発されています。

日本においては、三菱のT-2やF-1に、IHIによってライセンス生産されたアドーア派生型「TF40-IHI-801A」が搭載されています。

派生機種

アドーアには多くの派生機種が存在し、以下はそのいくつかの例です。

• - 地上試験用エンジン: 10基の試作エンジン。
• - 飛行試験用エンジン: ジャギュア試作機用に25基が製造。

アフターバーナー搭載型

• - アドーア Mk 101: ジャギュア用の最初の派生機種。
• - アドーア Mk 102: アフターバーナーを装備。
• - アドーア Mk 106: 改良型、イギリス空軍で運用。
• - アドーア Mk 801: 三菱F-1とT-2用。

アフターバーナー非搭載型

• - アドーア Mk 151: レッドアローズで使用。
• - アドーア Mk 871: BAe ホーク200で使用。
• - F405-RR-951: 最新型で高性能を誇る。

性能仕様

アドーア Mk 106およびMk 871リヒート搭載版の一般的特性は以下の通りです。

• - 形式: ターボファンエンジン
• - 全長: 2.90 m
• - 直径: 0.57 m
• - 乾燥重量: 809 kg

構成要素

• - 圧縮機: 低圧2段、高圧5段
• - タービン: 低圧1段、高圧1段

性能

• - 推力: 27 kN（通常時）、37.5 kN（アフターバーナー使用時）
• - 全圧縮比: 10.4
• - 燃料消費率: Mk811では非使用時0.81(lb/hr/lb)
• - 推力重量比: 4.725:1

アドーアは、数多くの航空機に搭載されており、航空界において重要な役割を果たしています。特に、英国やインドの空軍において広く使用され、その信頼性とパフォーマンスが評価されています。

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