ロールス・ロイス・ファントムVII

ロールスロイス ファントムVII：ラグジュアリーカーの頂点を目指した挑戦

1998年、BMWによるヴィッカース所有のロールス・ロイス・モータースの買収は、自動車業界に大きな衝撃を与えました。この買収劇を経て、新生ロールス・ロイス・モーター・カーズが設立され、2003年、満を持して発表されたのが「ファントム」です。マイバッハ57/62をライバルに据え、伝統と革新を融合させたこのモデルは、たちまち人気を博しました。

伝統と革新の融合：デザインと技術

ファントムは、ロールス・ロイスのフラッグシップサルーンとして長年にわたって受け継がれてきた名称です。そのため、パルテノン神殿を思わせる大型のフロントグリルや、コーチドア（観音開き）といった、ロールス・ロイスらしい特徴的なデザインが継承されています。

インテリアにもこだわりが見られます。メタル仕上げの部分には、従来のサテン・クロムに加え、より輝きを増したブルー・クロムが採用され、上質な空間を演出。細部にまで、贅を尽くした作り込みが感じられます。

幻のV型16気筒エンジン：そしてMr.ビーン

開発段階では、9リットルV型16気筒エンジンの搭載も検討されました。しかし、オーバースペックであるとの判断から却下され、3基の試作エンジンがロールス・ロイスに保管されていました。その後、驚くべきことに、Mr.ビーンでおなじみの俳優ローワン・アトキンソン氏がロールス・ロイスに交渉し、このエンジンの1基を自身のファントムに搭載したというエピソードが残されています。

多様なバリエーション：顧客のニーズに応える

当初は4ドアサルーンのみの展開でしたが、後にホイールベースを延長した「EWB」(Extended Wheel Base) が追加され、後席の空間が拡大。さらに、2ドアクーペ (Phantom Coupé) とオープンカー (Phantom Drophead Coupé) もラインナップに加わり、最終的には4種類のバリエーションが用意されるようになりました。それぞれのモデルは、ロールス・ロイスの伝統的なデザインと、現代的な技術を融合させた、唯一無二の存在感を放っています。

生産終了：一つの時代の幕切れ

2016年、ロールス・ロイスはファントムの生産終了を発表。2017年1月末、最後のファントムがラインオフし、長く続いた歴史に幕を閉じました。

主要諸元（2010年3月時点）


ドロップヘッド・クーペ：レトロモダンな魅力

ドロップヘッド・クーペは、スーサイドドアを採用し、レトロモダンなデザインが特徴です。チーク材のデッキや、手作業で磨き上げられたスチール製のボンネットなど、細部までこだわりが詰まった、特別なコンバーチブルとなっています。

ファントムVIIは、ロールス・ロイスの伝統と革新性を体現した、まさに伝説的なモデルと言えるでしょう。その存在感は、これからも多くの人々を魅了し続けることでしょう。

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