ローン級装甲巡洋艦

ローン級装甲巡洋艦の概要

ローン級装甲巡洋艦は、ドイツ海軍における重要な艦級であり、特に第一次世界大戦の初期に活躍しました。この艦級は、ドイツ帝国海軍によって大型巡洋艦に分類され、艦船の設計や性能において当時の海軍戦力を象徴する存在でした。1906年4月5日に「ローン」が、翌年の1905年11月21日に「ヨルク」がそれぞれ竣工し、今後の海軍の戦略に多大な影響を与えることとなりました。

艦形と構造

ローン級の船体は、長船首楼型を採用しており、艦首下には衝角を装備しています。前部甲板には、連装式の主砲塔を持つ「21cm（40口径）速射砲」が1基搭載されており、艦橋は下部に司令塔を組み込んだ設計となっています。さらに、艦橋の上には段状の見張り所を持つミリタリー・マストが立てられ、艦舷には副砲として15cm速射砲を多数配置しています。

この艦の特徴的な点は、艦上構造物の側面に配置された武装であり、15cm速射砲が片舷に10基も設置されています。また、後部甲板には回転式の21cm主砲塔も備えられており、火力においても非常に優れた性能を有しています。これにより、前後方向には最大で21cm砲を2門、15cm砲を4門、左右方向には最大で21cm砲を4門、15cm砲を5門向けることが可能でした。

武装

主砲

本級の主砲は、1898年型のSK L/40 21cm（40口径）速射砲を採用しており、108.0kgの砲弾を30度の仰角で16,300m先まで打ち出す能力を持っています。砲身は上下に30度の仰角と5度の俯角を持ち、旋回角度は左右150度という広範な射界を実現しています。発射速度は毎分4～5発です。

副武装

副砲としては、同じく1898年型SK L/40 15cm（40口径）速射砲が採用されており、45.3kgの弾薬を20度の仰角で13,700m先に到達させることができます。単装砲架として10基が搭載され、射撃速度は同様に毎分4〜5発です。

さらに、近接火器としては1900年型の8.8cm（35口径）速射砲も14基搭載されており、射撃範囲は360度の旋回が可能（実際の射界は周囲の構造物によって制限される）で、発射速度は毎分12発となっています。加えて対艦攻撃用に45cm水中魚雷発射管も装備されています。

艦歴

第一次世界大戦期間中、ローン級装甲巡洋艦は主にバルト海で活動し、「ヨルク」は1914年に事故で沈没しました。「ローン」も戦闘に参加しましたが、1916年に改役されその兵装は撤去されました。その後、水上機母艦へ改修され、水上機6機といくつかの速射砲を搭載しましたが、実際に航空母艦として使用されることはありませんでした。戦争後には退役し、解体されました。

まとめ

ローン級装甲巡洋艦は、その武装と性能、デザインによって、ドイツ海軍の艦船として歴史に名を刻みました。彼らの活動は、艦船の進化が戦争に与える影響を明示しています。

関連項目

• - ドイツ海軍艦艇一覧

参考図書

• - 「世界の艦船 増刊　ドイツ巡洋艦史」（海人社）
• - 「Conway All The World's Fighting Ships 1860-1905」（Conway）
• - 「Conway All The World's Fighting Ships 1906–1921」（Conway）

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