ワイオミング (戦艦)

アメリカ海軍戦艦ワイオミング (USS Wyoming, BB-32/AG-17) の生涯

ワイオミングは、アメリカ海軍が建造したワイオミング級戦艦のネームシップであり、その名はアメリカ合衆国44番目の州、ワイオミングに由来します。本艦は、同名の艦としては3隻目にあたります。

起工から就役

1910年2月9日、ペンシルベニア州フィラデルフィアのウィリアム・クランプ・アンド・サンズ社で起工されました。1911年5月25日には、前ワイオミング州最高裁判所長官の娘、ドロシー・ユーニス・ナイトによって進水。1912年9月25日、フィラデルフィア海軍工廠にて初代艦長フレデリック・L・シャピン大佐の指揮下で就役しました。

第一次世界大戦前の活動

就役後、ワイオミングは大西洋艦隊の旗艦となり、様々な演習や訓練に参加しました。1913年にはパナマ運河を通過し、カリブ海での演習にも従事。その後、アメリカ海軍兵学校の士官候補生を乗せてヨーロッパへの巡航を行いました。地中海での巡航や、フランスへの訪問も経験しています。1914年からの数年間は、カリブ海での演習や、東海岸での訓練に従事しました。メキシコ水域にも派遣され、ベラクルス占領作戦にも参加しました。

第一次世界大戦

1917年、アメリカが第一次世界大戦に参戦すると、ワイオミングは第9戦艦部隊の一員としてイギリスへ派遣されました。イギリス海軍艦隊の第6戦闘部隊として、北海でのパトロールや、輸送船団の護衛に従事しました。ドイツ高速艦隊の脅威に対抗し、連合軍の機雷敷設艦の護衛も行いました。

戦間期

第一次世界大戦終結後、ワイオミングはウィルソン大統領を乗せた船の護衛や、アメリカ海軍のカーチスNC飛行艇の航路ガイド役を務めました。その後、太平洋艦隊に編入され、サンディエゴを拠点に活動しました。1920年には艦番号が「BB-32」に変更されています。

第二次世界大戦

1941年11月、ワイオミングは砲術訓練艦としての新たな役割を担うことになりました。第二次世界大戦が勃発すると、チェサピーク湾で数多くの砲術訓練を行いました。その訓練艦としての功績から「チェサピークの襲撃者」という愛称で呼ばれました。この間、12インチ主砲塔は撤去され、連装5インチ砲が取り付けられるなど、大規模な改装が行われました。訓練艦として、50口径機銃から5インチ砲まで、多様な火器の訓練を兵士たちに提供しました。1944年11月には、133名の士官と1,329名の兵士に、対空砲撃訓練を実施した記録が残っています。


終戦間際には、ワイオミングは特攻機対策を研究する特別部隊に所属し、標的機や無線操縦機を操作しました。その後も、新型射撃管制装置の実験に協力するなど、多岐にわたる任務に従事しました。

退役とその後

1947年7月11日、ワイオミングはノーフォーク海軍造船所に入り、8月1日に解役されました。その後、乗員と資料はミシシッピに移され、9月16日に除籍、10月30日にスクラップとして売却されました。12月5日には、購入者であるニューヨークのリプセット有限会社に引き渡されました。

結論

ワイオミングは、その長い艦歴を通じて、アメリカ海軍の重要な一翼を担ってきました。戦艦としての任務だけでなく、砲術訓練艦として、多くの兵士を育成し、第二次世界大戦の勝利に貢献しました。その功績は、アメリカ海軍の歴史に深く刻まれています。

参考資料

US Navy Historical Center USS Wyoming gallery - ウェイバックマシン（2001年2月18日アーカイブ分）
Maritimequest USS Wyoming BB-32 Photo Gallery
NavSource Online: Battleship Photo Archive BB-32 USS WYOMING 1910 - 1919
この記事はアメリカ合衆国政府の著作物であるDictionary of American Naval Fighting Shipsに由来する文章を含んでいます。

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