ワイルドフラワーズ (トム・ペティのアルバム)

トム・ペティ『ワイルドフラワーズ』：90年代を彩る名盤

1994年、トム・ペティが発表したソロアルバム『ワイルドフラワーズ』は、彼のキャリアにおいて重要な作品の一つとして位置づけられています。ザ・ハートブレイカーズのメンバーも多数参加し、バンドサウンドを基盤としながらも、よりパーソナルな表現を追求した意欲作です。

制作の背景

本作のレコーディングには、ザ・ハートブレイカーズからスタン・リンチを除くメンバーが参加。ドラムには後に正式メンバーとなるスティーヴ・フェローンが参加しています。また、「トゥ・ファインド・ア・フレンド」には、偶然スタジオを訪れていたリンゴ・スターがゲスト参加するというサプライズもありました。

プロデューサーには、リック・ルービンを起用。彼は、ベスト・アルバム『グレイテスト・ヒッツ』に収録された新曲「メアリー・ジェーンズ・ラスト・ダンス」でもペティと組んでおり、その相性の良さが本作にも活かされています。当初、ペティは2枚組でのリリースを考えていましたが、最終的には1枚にまとめられました。

音楽性と評価

『ワイルドフラワーズ』は、ペティの音楽的な幅広さを示す作品として高く評価されています。ロック、ブルース、フォークなど、様々な要素が織り交ぜられ、彼のソングライターとしての才能が際立っています。アルバムはBillboard 200で8位に達し、トリプル・プラチナに認定されるなど、商業的にも成功を収めました。

グラミー賞では、最優秀ロック・アルバム賞にノミネートされ、収録曲「ユー・ドント・ノウ・ハウ・イット・フィールズ」が最優秀男性ロック・ボーカル・パフォーマンス賞を受賞。レコーディング・エンジニアチームも最優秀エンジニアード・アルバム賞（ノン・クラシカル）を受賞しています。

オールミュージックのスティーヴン・トーマス・アールワインは、5点満点中4.5点を付け、「スペースに余裕ができたことで、激しいロックや地に足のついたブルースだけでなく、ギターをかき鳴らした暖かみのあるフォークにも、同等の比重を置くことができた」と評価しました。また、Stereogumは、2014年の企画「Tom Petty Albums From Worst To Best」で、本作を2位に選出。『ローリング・ストーン』誌が2019年に選出した「'90年代のベスト・アルバム100」では12位にランクインするなど、各方面から高い評価を得ています。

リイシュー

2020年には、『Wildflowers & All the Rest』としてデラックス・エディション盤がリリースされました。アウトテイク、デモ、ライブ音源などが追加され、より深く『ワイルドフラワーズ』の世界を堪能できる内容となっています。別テイク集『Finding Wildflowers』は、2021年に単体のアルバムとしても発売されました。

『ワイルドフラワーズ』は、トム・ペティの音楽的才能が結集した、90年代を代表する名盤の一つです。彼のファンはもちろん、ロックファンにとっても必聴のアルバムと言えるでしょう。

収録曲

1. ワイルドフラワーズ
2. ユー・ドント・ノウ・ハウ・イット・フィールズ
3. タイム・トゥ・ムーヴ・オン
4. ユー・レック・ミー
5. イッツ・グッド・トゥ・ビー・キング
6. オンリー・ア・ブロークン・ハート
7. ハニー・ビー
8. ドント・フェイド・オン・ミー
9. ハード・オン・ミー
10. キャビン・ダウン・ビロウ
11. トゥ・ファインド・ア・フレンド
12. ハイヤー・プレイス
13. ハウス・イン・ザ・ウッズ
14. クローリング・バック・トゥ・ユー
15. ウェイク・アップ・タイム

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