ワイルド・フラワーズ (映画)

『ワイルド・フラワーズ』は、2004年に公開された日本の映画作品です。小松隆志が監督を務めた本作は、財政的に困窮し、存続の危機に瀕している弱小女子プロレス団体「ガリンペイロ女子プロレス」を舞台にした、コミカルなタッチの青春ドラマとして製作されました。

物語の中心となるのは、ガリンペイロの創設者でありながらも既に病で世を去った名レスラー、アイアン飯島の息子である細谷伸一（岡田義徳）です。医師として働く彼は、予期せぬ形で母親の過去と、彼女が築き上げた団体の窮状を知らされることになります。レスラーたちによって強引に団体へと連れてこられた伸一は、自身が知らない母親の人生と、彼女が団体再建に託した想いに触れ、最初はプロレスの世界への関わりを拒否しますが、周囲の働きかけによって次第にその心境を変化させていきます。そして、彼は母の跡を継ぎ、ガリンペイロの二代目社長として舵を取ることになるのです。

同時に、ガリンペイロには新しい才能が加わります。上司からのハラスメントを逃れてOLを辞め、新たな道を求めて入団した桐島みどり（鈴木美妃）。そして、病院近くの喫茶店で働いていた元ヤンキーで、空手仕込みの身体能力を持つ中島涼子（石川美津穂）です。対照的な背景を持つ二人は、新人レスラーとして共に成長し、プロレスへの情熱を燃やしていきます。

本作の大きな特徴は、実際の女子プロレス団体であるJDスター女子プロレスが共同製作に名を連ねている点にあります。当時JDスターが育成していた、「アストレス」と呼ばれるアクション女優としても活躍できるプロレスラーたちが多数出演しており、主演の一人である石川美津穂をはじめ、東城えみ、柏田千秋といったアストレスの面々が登場します。また、救世忍者乱丸、ファング鈴木、桜花由美といった当時のJDスター所属現役レスラーも多数出演しており、リング上でのシーンは非常に本格的で迫力があります。これにより、作品全体にリアリティがもたらされています。

さらに、1980年代にアイドルレスラーとして人気を誇り、1999年に引退していたキューティー鈴木が、物語の重要な局面でライバル団体のレスラーとしてリングに上がるという、プロレスファンにとっては感慨深いサプライズ出演も実現しています。

岡田義徳が主人公の細谷伸一を演じ、新人レスラー役を鈴木美妃と石川美津穂が務めます。ガリンペイロ創始者であるアイアン飯島役には高畑淳子、ライバル団体の社長役には麿赤兒といったベテラン俳優陣が脇を固め、物語に深みを与えています。

映画は、みどりや涼子がプロレスラーとして成長していく姿と、それを見守り、また自身もプロレスの世界に魅了されていく細谷の奮闘を中心に描かれます。新人レスラーたちの人気上昇に伴い、ガリンペイロも再び活気を取り戻し、団体の再建に向けて動き出しますが…。

製作委員会には、配給を担当した東京テアトルやザナドゥー、JDスター女子プロレスなどが参加しています。監督の小松隆志のほか、脚本・原作はEN、音楽は遠藤浩二が担当し、エンディングテーマ曲はbiceと及川リンが歌う「部屋」が使用されました。

プロレスというユニークな世界を舞台にしながらも、夢を追いかける若者たちの姿や、困難に立ち向かう人間の強さ、そして仲間との絆といった普遍的なテーマを描いた作品として、多くの観客に感動と笑いを届けました。

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