ワスプス・ラグビー

ワスプス・ラグビーは、イングランド中部、コヴェントリーを本拠地とするプロラグビーユニオンクラブです。チームの活動拠点であるスタジアムは、コヴェントリー・ビルディング・ソサエティ・アリーナとして知られています。イングランドのトップリーグであるプレミアシップで複数回の優勝経験を持ち、欧州の舞台でも栄冠を勝ち取るなど、かつては国内外屈指の強豪として名を馳せました。

歴史

チームの起源は古く、1866年にロンドンで誕生したハムステッドFCに遡ります。このクラブがハーレクインズへと名称を変更する際、クラブカラーであるブラックアンドゴールドのジャージを尊重する一部メンバーが独立し、1867年にワスプスFCとして新たな道を歩み始めました。

その後、ラグビーがプロ化される流れの中で、1996年にアマチュア部門から分離する形でワスプスRFCが設立され、1999年には同名のアマチュアクラブとの混同を避けるため、ロンドン・ワスプスと改称しました。

長らくロンドンを拠点として活動していましたが、2014年には「ロンドン」の名を外し、本拠地をコヴェントリーへ移転するという大きな変化を遂げました。

しかし、2022年には経営難から破産を申請し、プレミアシップからの出場停止処分を受けるという困難に直面します。一度は資産譲渡による2部リーグからの再起が発表されたものの、これも頓挫。しかし、希望は失われず、2023年10月には新たなオーナーの下で、2025年のチーム再始動を目指し、新スタジアム建設を含む再建計画が公表されました。

主な獲得タイトル

ワスプスは輝かしい歴史の中で数多くのタイトルを獲得しています。

プレミアシップ: 6回
1989-90, 1996-97, 2002-03, 2003-04, 2004-05, 2007-08
アングロ・ウェルシュカップ: 3回
1998-99, 1999-2000, 2005-06
ハイネケンカップ: 2回
2003-04, 2006-07
欧州チャレンジカップ: 1回
2002-03

イングランド最高峰リーグであるプレミアシップでは、特に2000年代に3シーズン連続で頂点に立つなど、圧倒的な強さを見せました。欧州クラブ最高峰大会であるハイネケンカップ（現在のヨーロピアンラグビーチャンピオンズカップ）や欧州チャレンジカップでも優勝し、国内外で強豪としての地位を確立していました。

著名な元所属選手

ワスプスには、世界各国の代表レベルで活躍した多くの名選手が在籍していました。以下にその一部を挙げます。

ヴァアイガ・ツイガマラ (Va'aiga Tuigamala): ニュージーランド代表として1991年ワールドカップに出場。
ニック・ベリー (Nic Berry): 現在は国際的なラグビーレフリーとして活躍。
ジェームス・ハスケル (James Haskell): イングランド代表77キャップ、2011年・2015年ワールドカップに出場。
ロブ・ウェバー (Rob Webber): イングランド代表16キャップ、2015年ワールドカップに出場。
ブラッドリー・デーヴィス (Bradley Davies): ウェールズ代表66キャップ。後にオスプリーズなどに所属。
アンドリュー・スニウラ (Andrew Suniula): アメリカ代表39キャップ、2011年・2015年ワールドカップに出場。
ヴィクトル・グレセフ (Victor Gresev): ロシア代表106キャップ。後にロコモティブ・ペンザなどに所属。
ビリー・ヴニポラ (Billy Vunipola): イングランド代表として活躍。後にサラセンズなどに所属。
エリオット・デイリー (Elliot Daly): イングランド代表として活躍。後にサラセンズなどに所属。
チャールズ・ピウタウ (Charles Piutau): ニュージーランド代表、トンガ代表として活躍。後に静岡ブルーレヴズなどに所属。
フアン・デ・ヨング (Juan de Jongh): 南アフリカ代表19キャップ。後にストーマーズなどに所属。
リマ・ソポアンガ (Lima Sopoaga): ニュージーランド代表18キャップ。
* マラカイ・フェキトア (Malakai Fekitoa): ニュージーランド代表、トンガ代表として活躍。後にマンスターなどに所属。

他にも、国際舞台で活躍した多くの才能がワスプスでそのキャリアを積み重ねました。

再建への道

かつてイングランドと欧州のラグビー界を牽引したワスプスは、経営破綻という困難な状況にありますが、新たなオーナーシップの下、2025年のプロリーグ復帰を目指して再建への道を歩み始めています。その歴史と伝統、そして数々のタイトル獲得の功績は、ラグビー史に深く刻まれています。

もう一度検索