ワリード2世

ワリード2世： краткое описание

ワリード2世（709年 - 744年）は、ウマイヤ朝の第11代カリフとして知られています。しかし、彼の治世はわずか1年4ヶ月という短い期間で終わり、その生涯は多くの逸話に彩られています。

生涯

ワリード2世は、第9代カリフ・ヤズィード2世を父に持ち、第10代カリフ・ヒシャームの甥にあたります。743年にヒシャームが亡くなるとカリフの座を継承しましたが、カリフとしての才能や器量に欠けていたとされています。そのため、744年には従兄弟であるヤズィード3世に反乱を起こされ、廃位されました。

彼は大酒飲みで享楽的な人物として知られ、カアバ神殿の屋根で酒を飲もうとメッカ巡礼を行ったという逸話も残っています。このような行動は、当時のイスラム社会においては不信心とみなされ、彼の評判を大きく損ねる要因となりました。

在位中には反乱が勃発し、最終的には首を討たれて命を落としました。その首は槍に突き刺され、シリア砂漠の離宮からダマスカスへと運ばれたと伝えられています。

血筋

ワリード2世は、ウマイヤ朝の初代カリフであるムアーウィヤ1世と、第2代カリフ・ヤズィード1世の女系子孫にあたります。具体的には、ムアーウィヤ1世 - ヤズィード1世 - アティカ（ムアーウィヤ2世の姉妹） - ヤズィード2世 - ワリード2世という血筋を辿ります。ムアーウィヤ1世から見ると外玄孫、ヤズィード1世から見ると外曾孫にあたります。

人物像

ワリード2世は、カリフとしての資質に欠けていたと評される一方で、その奔放な性格から多くの逸話が生まれ、後世に語り継がれています。彼の治世は短く、ウマイヤ朝の衰退を早める一因となったとも指摘されています。しかし、彼の存在は、当時の社会における権力者のあり方やイスラム社会の価値観を考察する上で重要な意味を持っています。

まとめ

ワリード2世は、ウマイヤ朝のカリフとして短い期間ながらも、その破天荒な行動で歴史に名を残しました。彼の生涯は、当時の政治情勢や社会背景を反映しており、中東史を学ぶ上で興味深いテーマを提供しています。

参考文献
アミール・アリ『回教史　A Short History of the Saracens』（1942年、善隣社）
前嶋信次『千夜一夜物語と中東文化』(2000年、東洋文庫)

関連項目
* ウマイヤ朝

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