ヤズィード2世

ヤズィード2世（687年 - 724年）は、ウマイヤ朝の第9代カリフとして知られています。彼の本名はヤズィード・ビン・アブゥルマリク。父は第5代カリフのアブドゥルマリク、母はアーティカ・ビント・ヤズィードという血筋です。

生涯

ヤズィード2世がカリフに即位した頃のウマイヤ朝は、外からの圧力、宗教的な対立、そしてウマイヤ家内部の権力闘争が複雑に絡み合い、衰退の一途をたどっていました。彼はカリフに就任すると、財政再建のため人頭税を復活させます。しかし、この政策はベルベル人やマワーリー（非アラブ人のイスラム教徒）の反発を招き、大規模な反乱を引き起こしました。この反乱において、ウマイヤ朝は北アフリカの総督を失うという大敗を喫しますが、ヤズィード2世は反乱を鎮圧することができず、彼らが推す総督を容認せざるを得ないほど、政治的な力を失っていたと言われています。

彼の治世はわずか4年で終わりを迎えます。724年1月26日、ヤズィード2世は結核により死去。その後、弟のヒシャームがカリフの座を継承しました。

血筋

ヤズィード2世は、ウマイヤ朝の創始者である初代カリフ、ムアーウィヤ1世と、第2代カリフであるヤズィード1世の血を引いています。具体的には、ムアーウィヤ1世からヤズィード1世へと血統が繋がり、ヤズィード1世の娘であるアーティカを通じてヤズィード2世へと繋がっています。つまり、ヤズィード2世はムアーウィヤ1世の外曾孫、ヤズィード1世の外孫にあたる人物です。

まとめ

ヤズィード2世の短い治世は、ウマイヤ朝の衰退期を象徴するものでした。内外の困難に直面し、人頭税復活による反乱を鎮圧できず、政治的な手腕を発揮することができませんでした。彼の死後、弟のヒシャームがカリフを継承し、ウマイヤ朝の再建を目指すことになります。

参考文献
アミール・アリ『回教史　A Short History of the Saracens』（1942年、善隣社）

関連項目
ウマイヤ朝

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