ヴァイカウント

ヴァイカウント（子爵）とは

ヴァイカウント（英語: viscount）は、中世以降のヨーロッパにおける貴族の称号の一種です。日本語では子爵、または副伯と訳されます。ドイツ圏には存在しない称号です。

起源

「viscount」という言葉は、古フランス語の「visconte」に由来します。これは中世ラテン語の「vicecomes」の対格である「vicecomitem」から派生しており、「vicecomes」は俗ラテン語で「副」を意味する「vice-」と、「伯爵」を意味する「comes」（後期ローマ帝国の廷臣に由来）の複合語です。

イングランドでは1387年から「viscount」という言葉が使われていましたが、爵位としては1440年にヘンリー6世がジョン・ボーモントに叙任したのが記録に残る最初の例です。初期のヴァイカウントは、国王に信任された非世襲の官職である「shire reeve」（シェリフ）に相当し、一代限りの爵位でしたが、後に世襲されるようになりました。

女性のヴァイカウントはヴァイカウンテス (viscountess) と呼ばれます。

イギリスおよびイギリス連邦におけるヴァイカウント

現在、イギリスには約270の子爵位が存在します。通常、子爵は「The Viscount ～」や「The Viscount ～ of …」のように呼ばれます（「～」には姓または領地名、「…」には領地名が入ります）。敬称としては「My Lord」が用いられます。

例:

The Viscount Falmouth（地名の例）
The Viscount Hardinge（姓の例）
The Viscount Gage of Castle Island（姓と地名の例）
The Viscount Combermere of Bhurtpore（地名と地名の例）

スコットランドでは例外的に、姓の前に「of」が入る「The Viscount of ～」という形式で呼ばれる子爵位が少数残っています。

例:

The Viscount of Arbuthnott

会話では「Lord ～」と呼ばれ、改まった席では「The Viscount ～」と呼ばれます。子爵夫人は「Lady ～」、子供は「The Honourable [名] [姓]」と呼ばれます。

儀礼称号としてのヴァイカウント

ヴァイカウントは、侯爵（marquess）や伯爵（earl）の嗣子に対する儀礼称号としても使用されます。例えば、Earl Howe（ハウ伯爵）の長子は代々Viscount Curzon（カーゾン子爵）と呼ばれています。また、ウェセックス伯エドワードの息子であるジェームズは、セヴァーン子爵とされています。

子爵家の当主の法定推定相続人（必ずしも息子とは限らない）も、ヴァイカウントの称号で呼ばれることがあります。

関連項目

子爵
* ヴィスコンティ

もう一度検索