ヴァリアント級原子力潜水艦

ヴァリアント級原子力潜水艦

ヴァリアント級原子力潜水艦（Valiant class submarine）は、イギリス海軍の攻撃型原子力潜水艦であり、イギリス初の国産原子炉を搭載した艦級です。この艦型は1962年から1963年の間に就役し、1990年代に退役しました。

建造の背景

本級の最初の名称はインフレキシブル級とされていましたが、レゾリューション級潜水艦の建造計画が優先されるため、建造スケジュールが見直され、艦級名はヴァリアントへ変更されました。また、1番艦の名称も同様に更新され、最初の就役予定であった1965年9月は遅れ、最終的には1967年までに2番艦の就役も遅延しました。

設計の特徴

ヴァリアント級は先行するドレッドノートを基本にしつつ、改良が施されています。具体的には、船体の長さが6メートル増加し、水中排水量も900トン増加しました。この増加は、イギリス製の原子炉PWR1と制振ラフトの採用によるもので、特に制振ラフトの導入はイギリスの原子力潜水艦では初めての試みで、航行中の雑音を大幅に減少させました。ただし、この制振装置は主機のタービンと減速装置に限られており、巡航時のみの使用が可能です。

作戦任務と実績

冷戦時代において、ヴァリアント級は対潜水艦戦に特化した重要な任務を担っていました。1967年には、1番艦ヴァリアント（HMS Valiant, S102）が、シンガポールからイギリスまで、潜水状態で1万9312キロメートルを航行し、イギリス海軍の記録を打ち立てました。就役期間中には、2隻のヴァリアント級潜水艦が数回の改修を受け、特にハープーン対艦ミサイルの運用能力が追加されました。

1982年のフォークランド紛争では、他の原子力潜水艦と共に作戦に従事し、冷戦期におけるその重要性を証明しました。

退役とその影響

長い間イギリス海軍に在籍していたヴァリアント級ですが、2番艦ウォースパイトは1987年からの改修中に冷却管系に亀裂が見つかり、1991年に退役しました。この影響で、同じ設計の艦についても早期に解役が決定されました。

この級は、準同型のチャーチル級潜水艦と共に優れた運用成績を収めただけでなく、イギリス初の弾道ミサイル原子力潜水艦であるレゾリューション級の基盤にもなり、その後のイギリスの原子力潜水艦の設計においても重要な役割を果たしました。

同型艦一覧

• - ヴァリアント (HMS Valiant, S102)
• - ウォースパイト (HMS Warspite, S103)

関連項目

• - ドレッドノート（原子力潜水艦）
• - チャーチル級原子力潜水艦
• - イギリス海軍艦艇一覧

このように、ヴァリアント級原子力潜水艦は、イギリス海軍の攻撃能力を大きく引き上げ、その歴史において重要な一翼を担った艦級だと言えるでしょう。

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