ヴァリェヴォ

ヴァリェヴォ：セルビアの歴史と経済が交差する都市

ヴァリェヴォ（セルビア語: Valjevo / Ваљево）は、セルビアのコルバラ郡に位置する都市であり、基礎自治体の行政中心都市です。首都ベオグラードから約100km離れた場所に位置し、セルビアの主要な交通路が交わる地点として重要な役割を果たしています。

地勢と交通

ヴァリェヴォは、セルビアにとって重要な幹線道路であるイバールハイウェーが通過する地点に位置しています。このハイウェーはセルビアの南北を結び、アドリア海沿岸やボスニア・ヘルツェゴビナ方面へと続いています。また、マチェヴァの肥沃な土壌やヴォイヴォディナの穀倉地帯からの物資がヴァリェヴォを経由し、シャバツ、ウジツェ、ロズニツァ、バイナ・バシュタといったセルビア西部の主要都市へと運ばれます。鉄道はベオグラード＝バール鉄道が通っており、モンテネグロのバールなどアドリア海沿岸の都市と繋がっています。

歴史

ヴァリェヴォ近郊のペトニツァ村では、セルビアで最初期となる新石器時代の居住地跡が発見されており、古くから人が定住していたことが伺えます。ローマ時代には属州モエシアの一部でした。ヴァリェヴォという地名が文献に初めて登場するのは1393年で、当時ボスニアとベオグラードを結ぶ交易ルートの宿場町として機能していました。16世紀から17世紀にかけてオスマン帝国の支配が安定すると、その重要性はさらに増しました。19世紀以降は、オスマン帝国からセルビアへと支配が移り変わる激動の時代を経験します。セルビア蜂起の初期段階である1804年には、地元のセルビア人がトルコ支配に対して反乱を起こし、その成功がセルビア側にもたらされました。この反乱の契機となった出来事の一つに、イリヤ・ビルツァニンとアレクサ・ネナドヴィツという二人の著名な騎士がコルバラ川の橋でトルコ軍によって殺害された事件があります。

20世紀に入ると、ヴァリェヴォは産業と文化の中心地として発展を遂げます。第一次世界大戦中には、近隣でコルバラの戦いが起こり、ヴァリェヴォには負傷兵のための大規模な病院が設置されました。この戦いではセルビアがオーストリア・ハンガリー帝国に勝利しています。しかし、第二次世界大戦と1999年のNATOによるユーゴスラビアへの空爆（アライド・フォース作戦）で、ヴァリェヴォは大きな被害を受けました。

経済

ヴァリェヴォの経済を牽引してきたのは、20世紀半ばから操業していた兵器製造工場のクルシュイクでした。しかし、厳しい経済状況や1999年のNATOによる空爆の影響を受け、経営は困難な状況に陥りました。現在では、主にイラク軍との取引が行われています。ヴァリェヴォの経済は、多くの中小企業による冶金、食品、皮革、織物産業が中心となっています。近年では、オーストリア、イタリア、スロベニアなど欧州連合諸国の企業がヴァリェヴォに工場を設置する動きも見られます。

人口

ヴァリェヴォとその周辺の小規模な自治体を含めた人口は約20万人です。2002年の国勢調査によると、ヴァリェヴォ基礎自治体全体の人口は96,761人で、そのうち都市部には61,270人、郊外や村落には35,491人が居住しています。

ヴァリェヴォは、歴史的な背景と地理的な条件が複雑に絡み合い、独自の文化と経済を育んできた都市です。今後の発展が期待されます。

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