ヴァレンティノ (ファッションブランド)

ヴァレンティノ：イタリアを代表するラグジュアリーブランドの軌跡

ヴァレンティノ（Valentino）は、1957年にヴァレンティノ・ガラヴァーニによってイタリアのローマで創業された、世界的に有名な高級ファッションブランドです。現在、本社はミラノに置かれています。

創業と初期の成功

ヴァレンティノは、創業者ヴァレンティノ・ガラヴァーニの卓越したデザインセンスと、ビジネスパートナーであるジャンカルロ・ジャメッティの経営手腕によって、急速に成長を遂げました。1960年代半ばには、その人気は不動のものとなり、アメリカのファッション雑誌『Women Wear Daily』から「イタリアのファッションの王様」と称されるほどでした。1967年には、デザイナーのヴァレンティノ自身が名誉あるニーマン・マーカス賞を受賞し、その才能を世界に知らしめました。

1962年にはフィレンツェのピッティ宮殿で初のファッションショーを開催し、その華麗なコレクションはメディアや顧客から熱烈な支持を受けました。ショーのわずか1時間後には、コレクション全体が完売したという逸話も残っています。顧客には、アリストテレス・オナシスをはじめとする著名人が名を連ね、その洗練されたデザインは、ファラ・ディーバ、ジャクリーン・ケネディ・オナシス、エリザベス・テイラーといった多くのセレブリティにも愛されました。

ブランドの発展と変化

1971年には、イタリアファッションの中心がローマからミラノに移ったことを受け、ブランドの拠点をミラノに移しました。1972年からはイタロ・クレモナとの協業でサングラスのコレクションを発表、1978年からはテキスタイル・ファイナンシャルグループとの提携によりプレタポルテラインを立ち上げ、事業を拡大しました。

1998年には、創業者であるガラヴァーニとジャメッティは、ブランドをHDPグループに売却。その後、2002年にはHDPがヴァレンティノS.p.A.をMarzottoグループに売却しました。2005年にはMarzottoグループがスピンオフを経験し、繊維部門が分離。2006年には、ブランド設立45周年を迎え、ステファノ・サッシがCEOに就任しました。

2012年には、ミラノのモンテナポレオーネ通りにある旗艦店がリニューアルオープンし、新しいストアコンセプトが発表されました。同年7月12日には、カタールの投資会社Mayhoolaがブランドを買収しました。2016年には、長年ブランドを支えてきたマリア・グラツィア・キウリが共同クリエイティブディレクターを退任し、ピエールパオロ・ピッチョーリが単独でクリエイティブディレクターに就任しました。

主なブランドライン

ヴァレンティノは、複数のブランドラインを展開しています。

ヴァレンティノ (Valentino): ブランドの中核となるラインで、ウィメンズとメンズのハイファッションコレクションが含まれます。プレタポルテだけでなく、ローマのアトリエで仕立てられる一点もののアイテムも扱います。ウェディングドレス、サングラス、時計、香水などのコレクションもライセンス生産されています。
ヴァレンティノローマ (Valentino Roma): ヴァレンティノのブランドよりも幅広い層の顧客をターゲットにしたラインです。価格帯は若干低めに設定されており、デザインは流行に敏感で、コアブランドほど目立ちません。
ヴァレンティノ・ガラヴァーニ (Valentino Garavani): バッグ、靴、革製品、ベルトなどのファッションアクセサリーを専門とするラインです。
REDValentino: 若年層の顧客をターゲットにしたブランドラインです。

世界的な展開と影響

ヴァレンティノは、世界100か国以上で約1500の店舗を展開しており、そのうち175店舗は単独ブランドのブティックです。世界中の多くの著名人から愛されており、モザ・ビント・ナセル王妃、ジャクリーン・ケネディ・オナシス、メリル・ストリープなどが、ヴァレンティノの服を着用していることが知られています。また、限定版のバービー人形や、ジュリア・ロバーツが2001年のオスカー賞で着用したドレスは、チャリティ目的で制作されました。

デザイナー

ヴァレンティノのクリエイティブディレクターは、以下の通りです。

ヴァレンティノ・ガラヴァーニ (1959年 - 2007年)
アレッサンドラ・ファチネッティ (2007年 - 2008年)
マリア・グラツィア・キウリ＆ピエルパオロ・ピッチョリ (2008年 - 2016年)
ピエルパオロ・ピッチョリ (2008年 - 現在)

まとめ

ヴァレンティノは、その創業から今日に至るまで、常にファッション界の最前線を走り続けています。洗練されたデザイン、高品質な素材、そして卓越した職人技によって生み出されるアイテムは、世界中のファッション愛好家を魅了し続けています。その歴史と革新性は、これからもファッション界に多大な影響を与え続けることでしょう。

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