ヴァンガード級原子力潜水艦

ヴァンガード級原子力潜水艦



ヴァンガード級原子力潜水艦は、イギリス海軍が保有する戦略ミサイルを搭載した潜水艦です。このクラスの艦艇は、イギリスが運用する唯一の核戦力であり、主に潜水艦発射弾道ミサイル（SLBM）を搭載して、戦略的な哨戒任務を遂行します。この級の潜水艦は、レゾリューション級の後継艦として位置付けられ、現在4隻が就役していますが、通常は1隻が任務に就いています。すべての艦は、スコットランドのクライド海軍基地を母港として運用されています。

概要



ヴァンガード級は、1984年にトライデント・プログラムに基づいてイギリス政府によって導入されることが決定され、全ての艦は1986年から1999年にかけてヴィッカース・アームストロング社によって建造されました。艦艇の建造は、バロー・イン・ファーネスにあるヴィッカーズ・シップビルディング・アンド・エンジニアリング（VSEL）で行われ、特に本級のために新たにデヴォンシャー・ドックホールが設けられました。

この級の特徴は、前のレゾリューション級潜水艦と異なり、初めから弾道ミサイル潜水艦として設計されている点です。全長149.9メートル、排水量は15,980トンで、レゾリューション級の約2倍の規模を誇ります。また、ソ連のタイフーン型やアメリカのオハイオ級に次ぐ、大型潜水艦として知られています。大きくなった要因は、トライデントD5ミサイルのサイズの増加に起因しています。

武装と能力



ヴァンガード級の武装では、弾道ミサイル発射筒のほかに、最大射程54kmのスピアフィッシュ魚雷を搭載可能な21インチ魚雷発射管が4門装備されています。ミサイル・コンパートメントはオハイオ級の設計を基にしており、オハイオ級が24基装備可能であるのに対し、ヴァンガード級では16基に制限されています。

新型のロールス・ロイスPWR2型原子炉は、この級のために特別に設計されたもので、前モデルの2倍の耐用年数を持ち、航行中は最大25ノットの速度を出すことができます。また、補給なしで地球を40周する能力を持ち、高価な燃料交換を行うことなく艦歴を全うできるのも特徴です。加えて、補助発電機としてパックスマン・ディーゼル発電機が2基、さらにWHアレンターボ発電機も装備されています。

同型艦



現在運用されている全てのヴァンガード級潜水艦は、VSELのバロー・イン・ファーネス造船所で建造されたものです。これにより、統一された設計と運用が可能となっています。

注釈




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