ヴァンデ・バーラト (鉄道車両)

ヴァンデ・バーラト急行について

この項目では、インドの国営鉄道であるインド鉄道が運行している長距離列車、ヴァンデ・バーラト急行（Vande Bharat Express）について詳しく解説します。この列車は2019年に営業運転を始め、最高速度は160 km/hに達することが可能です。元々はトレイン18（Train 18）という名称で知られていましたが、現在は「ヴァンデ・バーラト急行」として広く認知されています。

導入の背景

この列車の開発は2018年に始まり、従来のシャターブディー急行（Shatabdi Express）に代わる高速列車としての役割を担うことに決まりました。インテグラル・コーチ・ファクトリーが手掛け、最初の車両は同年に完成しました。2019年2月15日には出発式が行われ、全国各地で試運転が行われました。特に2018年12月の試運転では、最高速度180 km/hを記録し、当時のインドの鉄道史上最高速度として注目されました。

一方で、初期の製造時には入札優遇の疑惑が浮上し、結果的に2編成のみの製造に留まることになりました。2次車の製造は、入札システムの見直しの後、2022年に本格的に始まりました。2022年8月の試運転では、さらに速度を更新し183 km/hを記録しました。

ヴァンデ・バーラト急行の特徴

この急行列車は、流線形の前面と動力分散方式を採用しており、従来型の機関車牽引方式よりも加速度が優れています。車両の編成は、需要に応じて自由に増減できるように設計されており、16両編成の他に、短距離向けの8両編成も進められています。また、2024年からは20両編成の導入も予定されています。

車体設計はインド鉄道の標準型LHB客車を基にし、ビニール加工で汚れや落書きから保護されています。乗降扉は自動ドアで、プラットフォームとの隙間を解消する収納式ステップも設置されています。車両の塗装は、初期の白と青から、インドの国旗を反映したサフランオレンジと灰色が基調のデザインに変更されました。

車内の快適性

車内には冷房が完備されており、エコノミークラスとエグゼクティブクラスの2種類の座席が用意されています。両クラスとも快適性を重視しており、Wi-Fiも利用可能です。トイレはドイツ製のバリアフリー吸引式バイオトイレを採用しており、最大40 cmの浸水にも耐えられる防水設計がされています。すべての電気機器は床下に集約され、広々とした空間が確保されています。

改良と進化

2022年以降の2次車にはさまざまな改良が施されています。加速度は1次車の発車から最高速度到達までの時間を54.6秒から52秒に短縮、編成重量も軽量化されています。座席や空調装置も改良され、エネルギー効率は15%向上しています。また、安全対策として衝突回避システム「カヴァチ」が搭載されています。2023年以降の新編成では、座席のクッションやトイレも改良されており、さらに快適な旅ができるようになっています。

今後の展望

2022年には、夜行列車用の新型ヴァンデ・バーラト急行が提案され、2024年に初の試運転が予定されています。また、営業距離300 km未満の都市間向けには「ナモ・バーラト・ラピッド・レール」が計画され、高速性と快適性を兼ね備えた列車運行を目指しています。これにより、インド国内の鉄道網は一層強化され、利便性が向上することでしょう。

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