ヴァン・ダイク・パークス

ヴァン・ダイク・パークスは、1943年1月3日にミシシッピ州で生まれ、幼少期をルイジアナ州で過ごしました。子役として映画やテレビに出演後、音楽の道へ進み、クラリネットからピアノ、ギターへと楽器を習得していきました。兄のカーソン・パークスも作曲家であり、共に音楽活動をスタートさせました。

1960年代には、MGMレコードと契約し、シングルをリリース。その後、ワーナー・ブラザース・レコードに移籍し、スタジオミュージシャン、編曲家、作曲家として活動を開始します。この時期に、彼はバーズのプロデューサーであったテリー・メルチャーを通じて、ザ・ビーチ・ボーイズのブライアン・ウィルソンと出会い、彼らの未完の傑作『スマイル』の制作に作詞家として参加しました。しかし、このプロジェクトは様々な事情から中断、幻のアルバムとして語り継がれることになります。

1968年、パークスは自身のデビューアルバム『ソング・サイクル』を発表し、その後の音楽スタイルを確立します。このアルバムでは、ラグタイムやニューオーリンズジャズといったアメリカのルーツミュージックを掘り起こし、現代的な音楽と融合させるという独自のスタイルを確立しました。評論家からは高い評価を得るものの、商業的な成功には至りませんでした。その後、『ディスカヴァー・アメリカ』ではカリプソ音楽、『ヤンキー・リーパー』ではアメリカ音楽に影響を与えた楽曲を取り上げ、多様な音楽性を披露しました。

1973年には、日本のバンド「はっぴいえんど」のアルバム『HAPPY END』のプロデュース、アレンジ、演奏にも参加しています。1984年に発表した『ジャンプ！』では、アメリカの寓話からインスピレーションを得て、バンジョー、マンドリン、スティールパンといった楽器を取り入れ、古き良き時代のアメリカ音楽を表現しました。また1989年の『東京ローズ』では、日米関係をテーマに、オーケストラポップと和楽器を融合させた音楽を創り出しました。このアルバムは、商業的な成功は得られませんでしたが、彼の音楽的な探求心を示しています。

1995年には、ブライアン・ウィルソンと再びタッグを組み、『オレンジ・クレイト・アート』を制作しました。このアルバムは、20世紀初頭のカリフォルニアをテーマにしたもので、パークスの作曲とウィルソンのボーカルが融合し、高い評価を得ました。1998年には、初のライブアルバム『ムーンライティング〜ライブ・アット・ザ・アッシュ・グローヴ』を発表し、19世紀のピアニスト、ルイス・モロー・ゴットシャルクへの敬愛を示しました。

近年では、2007年にブライアン・ウィルソンの楽曲制作に協力し、映画のサウンドトラックに提供しています。2013年には、アルバム『スーパー・チーフ - ミュージック・フォー・ザ・シルバー・スクリーン』と『ソングス・サイクルド』をリリース。また、2019年には、日本のドキュメンタリー映画『NO SMOKING』に、細野晴臣の友人として出演しています。ヴァン・ダイク・パークスの音楽は、多様なジャンルを融合させ、アメリカ音楽のルーツを深く掘り下げた、唯一無二の世界観を創り出しています。彼の功績は、音楽業界に大きな影響を与え続けています。

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