ヴァージン・トレインズ

ヴァージン・トレインズ：イギリスの鉄道史に名を刻んだ民営鉄道会社

1997年3月の営業開始から2019年12月の運行終了まで、イギリスの鉄道風景に彩りを添えたヴァージン・トレインズ。本稿では、その歴史と事業内容、そしてブランドの展開について詳細に見ていきましょう。

設立と事業開始

イギリス国鉄民営化後の1997年、ヴァージン・グループを主体としたヴァージン・トレインズは、ロンドン・ユーストン駅を起点とするウェスト・コースト本線の長距離列車運行に乗り出しました。当初はヴァージン・グループが全額出資、後にステージコーチ・グループも出資に加わり、同社は「ペンドリーノ」390形電車や「スーパー・ボイジャー」221形気動車など新型車両を導入することで、サービスの向上を図りました。運行路線はウェスト・コースト本線を中心に、長距離路線を網羅。多くの乗客に利用され、イギリスの鉄道業界において重要な役割を果たしました。

ヴァージンブランドの展開

ヴァージン・トレインズは、ウェスト・コースト本線のみならず、他の路線でもそのブランド力を発揮しました。バーミンガム、アバディーン、ペンザンスを結ぶ「クロスカントリー」系統では、1997年から2007年まで、ヴァージン・クロスカントリーとして運行。また、2015年から2018年にかけては、東海岸本線の都市間列車を運行するヴァージン・トレインズ・イースト・コーストとして活躍しました。これらの路線では、ヴァージン・トレインズと共通の親会社を持つ企業が運営を担当。ヴァージンブランドは、イギリスの鉄道業界において大きな存在感を示していました。

営業権の変遷と運行終了

2012年、ヴァージン・トレインズのウェスト・コースト本線における営業権は失効の危機に瀕しました。入札プロセスにおける不備が指摘され、当初の予定よりも長く運営を継続することとなりましたが、2019年にはファーストグループとトレニタリアによる合弁企業アヴァンティ・ウェスト・コーストが新たな営業権を獲得。ヴァージン・トレインズは2019年12月7日をもって、長きにわたるウェスト・コースト本線の運行に幕を閉じました。

車両と運行系統

ヴァージン・トレインズは、運行期間中、快適な旅を提供するために、車両の更新にも力を入れていました。主力車両は390形「ペンドリーノ」と221形「スーパー・ボイジャー」。これらの車両は、高速性と快適性を両立させ、多くの乗客に利用されました。運行系統は、主要都市を結ぶ長距離路線が中心で、時刻表は運行状況や季節によって変更されることがありました。一部の路線では、ディーゼル機関車による牽引も行われていました。

まとめ

ヴァージン・トレインズは、イギリス国鉄民営化後の鉄道業界において重要な役割を果たした鉄道会社です。そのブランド力は、ウェスト・コースト本線だけでなく、他の路線にも広がり、イギリスの鉄道輸送に大きな影響を与えました。2019年の運行終了は、イギリスの鉄道史において一つの節目となりましたが、その功績は長く記憶されるでしょう。今後のイギリス鉄道業界の発展においても、ヴァージン・トレインズの経験と実績は重要な参考資料となるはずです。

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